UA竹田光広社長「収益力の根本的な改善が最大の目標」

2017/02/08 17:30 更新


 長く続いた供給過剰、オーバーストアに伴う同質化ばかりではなく、増えない所得やファッションに対する消費者の意識の変化が自社の業績に大きく影響を与えるようになったとみる。勝ち残るためには品揃えや売り方に独自の工夫、努力が不可欠と言う。

“出店立地によってMDを柔軟に組み替える”

■シーズンMDを細分化

 ――昨年はファッションが全般に売れない市場環境だった。

 企業や業種の主役が入れ替わるサイクルで言うと、今は過渡期で次を担う存在が見当たらない。消費者からすれば、どこに行っても同じモノが売られているし、ECで在庫を確認して、欲しいときに買えばいいから、実需買いも増えた。

 格差が広がり、中間層が減って差別化のためにファッションを買う必要性も薄れた。30~40代は服への投資を抑制し、吟味して買うようになった。20代は古着ミックスやオークションなど、お金をかけずにおしゃれをしようとするようになった。

 横並びでなく、身の丈に合う形で生活を楽しむようになっていて、それはある意味、生活防衛でやっている部分もある。

 ――そうした変化が業績に与える影響は。

 「グリーンレーベルリラクシング」は絶好調。「ステーションストア」も通勤、帰宅前に寄っていけるということで好調です。ECも伸びており、結局、価格と価値のバランスが取れている業態や利便性のある売り方が受けている。

 一方、「ドゥロワー」や新ブランドの「ブラミンク」もファッション好きのお客様の支持を得ていますが、これらはコアな層に向けた業態の話です。

 「ユナイテッドアローズ」「ビューティ&ユース」に関しては先ほど申し上げた消費の変化の影響を受けている部分もあり、今後修正を加えていきます。

――具体的には。

 グリーンレーベルの好調はMDの細分化が奏功した部分が大きいのですが、仕入れ商品の比率が高いユナイテッドアローズとビューティ&ユースにそれをそのままは採用できない。ただ、オリジナル商品では、ある程度それが出来ると思っています。

 同じオリジナルでもシーズン前に作り込む部分と期中の動向に応じて迅速に対応できる部分のバランスを適正化することで、仕入れ商品と当社のオリジナルの組み合わせが他店と違ったコーディネートに見える。同時に今後は、出店立地によってもMDを柔軟に組み替えていく考えです。

ua
ユナイテッドアローズ社長 竹田光広氏

 “リアルの価値は店に立つ人の力”

■収益力の根本改善へ

――今年度の出店計画は。

 今年は何よりも、収益力を根本的に改善することが最大の目標です。

 オリジナル商品を強化するのは、商品価値を上げてプロパー消化率を向上させ、粗利益率を高めるためです。販売・管理費の削減も徹底し、不採算事業も見直していきます。市場が変化するスピードがあまりに速く、事業の先行きの見極めをここでやらないと、これからを乗り越えていけない。

 だから実店舗の数を増やすことより、オープンから時間の経った店舗のリニューアルにむしろ重点を置きます。

 一方、ECはもっと伸ばしていきたい。すでに実店舗とECで分かれていたハウスカードを新規開発したスマートフォンアプリで統合しましたが、新規顧客をさらに増やすためにも、利便性を高め、サービスも充実させていく考えです。

 実店舗では引き続き接客も強化します。リアルの価値はやはり店に立つ人の力にある。ECに力を入れる一方で、それとは違う自社の価値をお客様に伝え、店に足を運んでもらう理由を作っていかないといけない。オリジナル強化や立地に応じた品揃えの工夫と並行して、接客も磨くのはわれわれにとって当然のことだと思います。



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