エッフェル塔のお洋服の値段は?(松井孝予)

2015/07/27 18:12 更新


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” Le 14 juillet “_ キャトールズ・ジュイエ–7月14日は、フランス革命の発端となった1789年のバスティーユ監獄襲撃を記念したフランス国民祭。英語圏では、Bastille day と呼ばれている。

日本では、ルネ・クレール監督の1933年作 ” Quatorze juillet ” を配給した当時の東和商事社長、川喜多長政・かしこご夫妻が、「巴里祭」と邦題をつけたことに由来し、「パリ祭」と呼ばれるようになったそうだ。

7月14日は、邦題の文字通り、フランス共和国で最も大切な「お祭り」だ。前夜祭はあちらこちらでダンスパーティーが開かれ、夜が開けると午前中にシャンゼリゼからコンコルドまで軍隊パレード、陸だけでなく、仏空軍のデモンストレーションで、空まで赤青白のトリコロールになる。

そして暗くなるのを待つ。エッフェル塔で待つ。23時、ここでフィナーレの花火が打ち上げられる。

 

 
幻想的な世界

 

世界一の花火国、「玉屋あー」「鍵屋あー」の歴史を持つ日本人にとって、パリ祭の花火なんて、「線香花火の拡大図」みたいなものだった。

日本の花火史は奥深く面白い。1874年(明治7年)、両国の花火大会で、10代目鍵屋弥兵塀衛さんがすでに丸く開く花火を披露したそうだ(夏の教養を宗家花火鍵屋のサイトで!) 。

ポンポンと音だけ、モクモクと煙だけ。エッフェル塔の足下か、よほど高い所からしか見物できなかったパリ祭花火。ところが昨年のパリ祭に、日本人も思わず欧州版隅田川気分になるほどの花火が打ち上げられた。

 


冠をつけたエッフェル姫

 

この「花火革命」仕掛人は、フランスの花火イベント会社グループF。ヴェルサイユ宮殿をはじめ仏国内の文化フェスティヴァルにつきものの花火イベントだけでなく、ドバイ、オーストラリア、台北、ブエノスアイレスなど世界をまたぎ、美しい空を演出。売上高の50%は国外が占めるグローバル企業だ。

パリ祭の花火師は、毎年5月、パリ市の委員会が決定する。花火革命を経験してしまったパリジャンを裏切ることなく、2015年パリ祭花火師にこのグループFが選ばれた。

パリ祭の前々日から、エッフェル塔の消灯午前1時を過ぎると、突然ドレスアップしたエッフェル塔が出現。

ルージュ、グリーン、ブルーのライティングをローブのように纏ったパリのタワー。ショーのバックステージをあらわにした、パリ祭のリハーサルが明け方まで続いた。


  
金色の波に洗われたようなパリのタワー


いよいよ本番、14日の23時。

一瞬闇に消えたエッフェル塔が、トリコロールカラーで現れた!と思いきや、レインボーカラーに次から次へ早業お色直し。そしてパウダーのような花火がエッフェル塔をメークする。ブルーとグリーンのイヴ・サンローランのローブのようなライティングを、ジュエリーのような花火で華やかに飾る。

花火大会会場付近の10階テラスで一緒に見学していた日本の某アパレル会社勤務の友人が、「デザインされてるわー、こんなの日本でも見たことない」とつぶやく。エッフェル塔をトップモデルに、まるでオートクチュールのような花火とライティング。

 


はじけるお菓子みたい 


シャネル気分のフィナーレ

 

「大輪花火見てくれ」、じゃなくて、ディオール風だなと思わせたり、ジバンシイの気分にさせたり、シャネルの雰囲気に巻いたりと、ショーストリー仕立ての花火ショー。

花火終了直後から、パリのデザイナーたちのFacebookもこの花火の話題で持ち切りだった。で、その翌日、あの30分間の空中のオートクチュールの余韻に浸っていればいいものの、パリ市が投じた金額がどうしても知りたくなり調べてみたところ… 答えは70万ユーロだった。(税金のことはおいといて)贅沢な夜をありがとう。

 

 
なんとなくディオール
 

言葉がまったく追いつかないエッフェルのファイヤーワーク、在日フランス大使館配信のYouTubeでもご覧になれます。夏の夜、シャンパン片手に、おウチで「鍵屋あー」してください。 



それまでの間、写真ギャラリーで花火見物をどうぞ。本物の花火に申し訳ないけど。




松井孝予

(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。

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