■HOKUSAI 葛飾北斎(1760~1849)
グラン・パレで開催中の「HOKUSAI / 北斎展」はすごい。
グランパレ
北斎と聞いただけで、どこからか飛沫が掛かってきたような、鏡に映る自分の顔が面長美人のような、セーヌ川のボートが帆掛け船に見えてしまうような、そしてその船がサーフボードのように逆立ちしそうな、そんな幻覚を覚えてしまうくらい、この画家の作品はカラダに記憶を焼き付ける。
この展覧会は、浮世絵、版本、数々の初公開の肉筆画や貴重な下絵を通し、北斎の生涯を6期に分け辿っていく。500作品以上を集め、内容ともに過去最大規模の展覧会だ。
キュレーターは葛飾北斎美術館館長の永田生慈氏。共同キュレーターとしてグラン・パレ学芸部長補佐のロール・ダロン氏。
風流無くてななくせ遠眼鏡
個人蔵 © Galerie Sebastian Izzard LLC
■改号、そして作風
この展覧会は、「北斎とフランス」からはじまる。
19世紀末にエドモン・ド・ゴンクールやエミール・ガレをはじめとするフランスの作家やアーティストたちが北斎芸術を発見した。北斎が当時与えた影響を再発見することで、この日本人画家のすごさに圧巻されのめり込んでいく。
弟子に号を譲り、改号しながらスタイルを模索し続けた北斎。ここでは、「春朗」「宗理」「葛飾北斎」「北斎漫画」「戴斗」「為一」「画狂老人卍」の時代に分けて展示。
亀図
個人蔵
「冨獄三十六景」のひとつ、あの「神奈川沖浪裏」の波の描写、巻き込まれてしまいそうに怖い。
江戸時代の庶民の生活をスケッチした『北斎漫画』は、この画家の観察力、画力、繊細さ、探究心など感性と知性による当時の百科事典とも言える。ここではその初刊200年を祝い、これまでにない規模で『北斎漫画』を展示している。
■「画狂老人卍」
北斎は1834年、これまで描いた富士山を集大成した絵本『冨獄百景』を出版。この本で卍の号を初めて使い、自分の芸術を完成させるために110才まで生きたい、と書いている。そして肉筆画に時間を費やすようになる。
ここで描かれた鳥は、さえずりながら画から飛び出してきそうだ。
花は香ってくるように生き生きして鮮やかだ。北斎ジャルダンにでもいるようだ。北斎はこうして80才を越えると、完成した肉筆画の1枚1枚に日付を記した。描くことへの情熱を感じずにはいられない。
流水に鴨図
大英博物館蔵 © The British Museum, Londres, dist. Rmn-Grand palais / The Trustees of the British Museum
■アフター展覧会 北斎グッズ
勿論です。観賞後のアートショッピングも充実している。
立派なカタログ、マットな紙を使用したポストカード、ブックマーク、文房具のクラシックグッズだけではない。
この展覧会のために、パリのお茶屋「パレ・デ・テ / PALAIS DES THES」 が緑茶をベースに花、柑橘類、そしてショウガをブレンドした「北斎茶 / THE HOKUSAI 」、それにまつわる湯のみ、茶托、鉄瓶。フレンチ北斎テイストはいかがでしょう。
北斎茶セット
■決定 Uniqlo & Grand Palais デザインコンクールグランプリ
北斎展を記念しユニクロとグランパレが共同主催したTシャツデザインコンクールのグランプリが決定!
入賞作品はこちらでどうぞ。
北斎展のポスター© Affiche Rmn-Grand Palais, Paris 2014
北斎展は2015年1月18日まで。
日曜日 9時〜20時
月曜日 10時〜20時
水〜金 10時〜22時
土曜日 9時〜22時
(火曜日休館)
※クリスマス休暇の期間は毎日9時〜22時
一般入場料/13ユーロ
松井孝予
(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。