大志を抱きStation F(松井孝予)

2019/04/10 06:00 更新


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Station F って?

Station F。英語読みだと「ステーション エフ」、フランス語読みだと「スタシオン エフ」。

ご存知ですか?(とりあえず慣れた英語読みで)ステーションFって。

それは2017年6月、パリ13区に開設された世界最大のスタートアップのインキュベーションプラットフォーム。

ここでは意外!、数年前までプルミエール・ヴィジョンのデニム展が開催されていた。

倉庫として利用されていたこの物件。面積はなんと3万4000平方メートル!

ここに2億5000万ユーロという巨額を投資しステーションFをつくった男の名は、仏人実業家グザヴィエ・ニール Xavier Niel_

日本ではピンとこない名前でしょうが、LVMHグループのベルナール・アルノー会長兼CEOの長女で「ルイ・ヴィトン」のエグゼクティブ・バイスプレジデントのデルフィーヌ・アルノー氏のパートナーが、この人、ニール氏なのです。

米国やその他先進国と比べIT発展途上にあったフランスをここで一気に並び追い越そうと、エマニュエル・マクロン仏大統領からのご寵愛を受けるStation F_

LVMHも昨年春、スタートアップ支援プログラム「ラ・メゾン・デ・スタートアップ」をこのStation F 立ち上げ、ケリンググループはここで開催されるサステイナビリティ国際会議のプレミアムスポンサー。

今やラグジュアリーグループの視察場所としても「マスト」なStation F_

それではここでこのフレンチシリコンバレーを数字で見てみましょう。

_ ポスト数(スタートアップの席数)/ 3000

_ スタートアップ年間の受け入れ数 /1034 うち33%がインターナショナル

ここで席を得るにはStation F  によるプログラム、またはここのパートナーである前記のLVMHをはじめFacebook、マイクロソフト、ロレアルらの大企業が用意しているプログラムに書類を送信し立候補すればいいのです。

どうです、大志を抱き Station F へ向かってみては!

【英語のサイト】https://stationf.co/campus/


帰宅しなくてもいい!24時間オープン年中無休!Station F を体験してきた

Station F は実際どんなところなのか。

ファッションエリート校のIFM(フランスモード研究所)とスマートファッションのインキュベーターADNの協業プログラム「ファッションテック」に在籍する Matthieu Zeilas マチュー・ゼイラスが案内してくれました。

Matthieu Zeilas

一般人もアクセスできる(登録が必要)イベントなどに使われる「シェアゾーン」、スタートアップに割り当てられたクリエイトゾーン(撮影不可)、そして誰もが利用できるフードコート「チルゾーン」の3つで構成されています。(このフードコートは5つのイタリアレストランで構成されていて、席数は1300とハンパじゃない。雰囲気、味/値段ともになかなかいいです。)

シェアゾーンの入り口には、この方が。Don't touch!
フードコート 「何にする?」

ここで仕事をするスタートアップはポスト(仕事机)使用料として月額約195ユーロを支払うだけ。

競争率は高いが3か月間で25ユーロと破格のプログラムもあり。

クリエイトゾーンには仕事机だけでなく、ミニキッチン、シャワー、瞑想のための空間や一眠りできるスペース、ゲーム各種など、ここで生活できる施設すべて揃っているからありがたい。

アイディアが降ってきそうな気持ちの良いガラス天井

もっと驚くべきことは、会計士や弁護士などビジネスで必要なサポートがすぐ受けられるという点。

また異業種間のコミュニティーと仲良くなるためのフリービールデーやピクニックなどの定例会もあり。

さらにこの近所にはホテル、また通勤圏内にはスタートアップのための住居も建築中。

シェアゾーンはイベントの用途もあり、アート作品が展示された1階には飲食スペース。2階にはミーティングルームやヘアーサロン、ゲームコーナーなどを設備。

いかにもこの場所「らしい」アート作品があちこちに
ここら辺で遊びますか

Sustainable x Innovation Luxury -technologies

サステイナブルとイノヴェーションから未来のラグジュアリーをつくる「ラグジュアリー・テクノロジー」

ところでStation F を案内してくれたマチューはここで何をしているのか。

彼は2015年にマネージメントのMBAを取得後、2016年に起業。昨年Stasion F のファッションテックのポストを獲得。2018年4月には自身のブランドMaison Z からエコロジーに配慮した素材と職人の手によるバッテリーを発表し話題となる。

彼のスタートアップのきっかけとは_

「ラグジュアリーとテクノロジーを結びつけたマーケットプレイスを立ち上げ、例えば、ダイヤモンドを散りばめたスピーカーとかヴァンドーム広場のショーウインドウディスプレー用のLEDのローブとか、展覧会用のローブとか30万ユーロもする高額ラインを制作していたのですが限界を感じてきたわけです。僕自身がミレニアル世代。ラグジュアリーメゾンのトップやそのチームから、商品開発のアドバイスを求められる存在になっていた。ならここでラグジュアリーブランドのためのハイテックグッズとコンサルティングサービスのエージェントをと Luxury-technologiesを設立しました。」

つまりミレニアルを狙うならミレニアルに聞け、ということ。

マチューは、サステイナブルとテクノロジーで将来のラグジュアリーを作るワールドワイドなスタートアッパーとして活動を広げています。

www.luxury-technologies.com

それではこのマチューが在籍する「ファッションテック」とは。

ADN IFM ファッションテック ディレクターの Arthure Ascarateil アルチュール・アスカルテイユにお話を_

Arthure Ascarateil

「ここでは、アート、デザイン、ニューメリック(デジタル)の分野からファッションテックをプログラムのテーマに、30のスタートアップ、70人が働いています。

スタートアッパーたちはひとつの分野に特化、またはミックスしながら開発に取り組んでいるのですが、ここは彼らの競争の場ではありません。もし競争に走ってしまったら、雰囲気が悪くなってしまう。ウオッチのスタートアップ2組が隣同士で仕事をしていますが、お互いアドバイスを交換したり、相談しあったりと、ライバルではなく連帯しながら開発しています。ディレクターとしてコミュニティー、ネットワーク作りをとても大切にしています。パリでこの雰囲気を作るのって難しいけど笑。もちろん彼らが必要なサポートを揃えることもとても重要な仕事です。」

アルチュール曰く、「まだここには日本のスタートアップが在籍したことがない_」

まずはこちらのサイトを覗いてみては!

http://adnxifm.com/en/home-english/

前回までのレポートはこちらから


松井孝予

(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。


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