カットソー主力のアパレルメーカー、田中センイ(三重県名張市)が企画を刷新・充実したメンズ「アーバンスクエア」が好感触を見せている。このほど会社としても初挑戦となったららぽーと新三郷での期間限定店では、オンからオフまで楽しめるセットアップが期待通りの売れ行きになった。消費者の反応や販売データを直接つかむことができ、卸先への波及効果を実感している。23~24年秋冬物では、販売先でのコーナー展開の引き合いも増えている。
同ブランドはかつてトップ主体だったが、この1年半でMDを刷新し、ジャケットやパンツ主体の内容へとリニューアルを進めていた。特に重視したのは「自分たちが着たい、欲しいを形にすること」。30、40代を中心に、オンもオフも背伸びをせずに着られる服を目指した。
提案を本格化したのが23年春夏物。前年の5倍となる約30型を企画し、ECや卸販売だけでなく、6月9日から1カ月間の期間限定店(店舗面積約120平方メートル)をららぽーと新三郷に出した。布帛のようにハリがあってきちんと見えるジャージーのアンクル丈イージーパンツ(税込み3990円)を筆頭に、オフィスカジュアルニーズをつかみ、期待通りの売り上げ結果が出た。
タイミングとしてセール時期も重なったが、買いやすくシンプルなデザインで、吸汗速乾や接触冷感の機能を盛り込んだ商品を強みに、値下げをせずに客数を積み重ねた。パンツ以外の中心価格はTシャツ2990円、シャツ3590円、ジャケット4990円。

期間限定店に踏み切ったことで、卸先(候補)のバイヤーも売り場をチェックし、自店での売り場作りのイメージをふくらませることができるなど、商談が前に進む大きなきっかけが生まれた。コーナー売り場の展開はこれまで一部だったが、すでに複数の小売店と20平方メートル弱のコーナー展開について商談が進んでいる。期間限定店についても立地や条件が整えば今後も検討する。
同社は、自社で在庫リスクを持ち、展示会はせずに、大阪や東京にあるショールームをベースに随時商談をしている。同ブランドの秋冬物についても同様の形式をとっており、これからさらに販売先の拡大を期待している。