必見のマスターワークス展(杉本佳子)

2016/11/28 00:00 更新


 メトロポリタン美術館のコスチュームインスティチュートでは、毎年5月初めにスタートする展覧会がメインの展覧会だ。その時はオープニングに合わせてガラパーティーが華々しく開催され、「ファッション界のオスカー」といわれるほど、レッドカーペットを歩くセレブの装いが注目される。

 でも、コスチュームインスティチュートでは、毎年秋に始まる展覧会もある。注目度は春展より低いが、最近始まった「Masterworks: Unpacking Fashion」はなかなか見ごたえがあった。来年2月5日まで開催しているので、機会があったら見てみられることをお勧めしたい。

 このマスターワークス展は、メトロポリタン美術館のコスチュームインスティチュートが過去10年に買い集めたものから特に注目すべき服を展示している。メトロポリタン美術館によると、この10年、収集戦略を西洋のハイファッションを幅広く百科事典的に収集することから、マスターピースを買い付けることへ変えてきたという。

 展覧会では、18世紀初めから現在までの60点が展示されているが、非常に手のこんだクラフトマンシップはデザイナーにとっては必見といえる。この展覧会のプレスプレビューに行く前、コーチが5番街にオープンしたグローバル旗艦店「コーチハウス」のプレスプレビューに行ったのだが、コーチハウスでもクラフトマンシップに重きが置かれていた。

 「時間のかかる手仕事」が注目されているのは、大量生産やファストファッションにちょっと嫌気がさしている気分の表れなのだろうかとも思った。



1898年にJean-Philippe WorthがデザインしたHOUSE OF WORTHのドレス


1824年につくられたドレスの裾



 またこの展覧会では、コスチュームインスティチュートの名物キュレーターだったハロルド・コウダ氏の今年1月の引退にちなんで、デザイナーたちから寄贈された服も展示している。

 ジャンポール・ゴルチェやマーク・ジェイコブスなど、デザイナーたちからのメッセージも紹介されていて、15年間にわたってコスチュームインスティチュートのキュレーターとして名を覇せたコウダ氏が、デザイナーたちから愛されていたことが伝わるコーナーになっている。



左は2006年春夏のバレンシアガのドレス、右は2012年春夏のコムデギャルソンのアンサンブル


デジタルスクリーンで紹介されているマークジェイコブスのメッセージと彼の服


89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ



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