かつてセレクトショップ「カリアリ」を手掛けていた橘川高春さんが再出発している。9月1日には兵庫県芦屋市にレディス専門店「スペシャリテ」を開いた。カリアリ時代の販売スタッフが次々と戻り、以前の顧客が来店する状況も見られた。資金が乏しい中での再起ではあるが、迷惑をかけた取引先、販売スタッフに「できる限り恩返しする」という気持ちでがんばると話す。
カリアリはドメスティックブランドとインポートミックスのセレクトショップとして知られ、神戸・旧居留地の店を中心に大阪にも2店あった。しかし、コロナ禍による外出自粛の影響などを受け、20年4月に運営会社バロンは自己破産した。思いもよらない倒産だったため、社員は当日まで知らなかったという。
JR芦屋駅ビル「モンテメール」に開いたスペシャリテは、1年契約。金融機関から融資を受けられないため、内装に資金はかけられないが、地域に密着した専門店として運営する。取引先はクロシェ、クレオスアパレル、ライトスタイルラグズ、ワノバなどの国内メーカー。カリアリ時代からの取引先もある。販売員はカリアリのスタッフが次々と戻ってきている。SNSで開店告知を載せると、かつての顧客が戻るなど反響は大きかったという。
JR姫路駅ビル「ピオレ」には、スペシャリテ、「ペントハウス」と1年契約の2店を持つ。芦屋と合わせ、順調に売り上げを伸ばせば継続運営も見えてくる。兵庫県再チャレンジ起業家支援プロジェクト「AGAIN」を申し込んでおり、資金面でも足掛かりを作ろうとしている。
(古川富雄)