志磨商事、婦人靴で「ティレニーナ」を強化

2017/02/03 06:30 更新


 人工皮革・合成皮革など製靴用素材を扱う志磨商事が、婦人靴向けの販売を伸ばしている。スポーツ用途などで実績のある機能素材に加えて、保形性に優れた人工皮革が加わったことで、ベターブランドでの採用が増えた。

 質の良い皮革の調達が難しいなか、独自で加工する素材の安定供給を強みに、市場の活性化を図る。

 人工皮革はこれまで、クラレの「クラリーノ」を主力としていたが、合皮よりも高価で、製靴には本革の方が使いやすいため、それほど採用は広がっていなかった。一方、昨年から、クラレの環境対応型人工皮革「ティレニーナ」を導入して開発を進めたところ、国産で本革を使っている婦人靴企業が「クリッピングのしやすさに着目」し、1万円台前半から半ばの価格帯で晴雨兼用靴を商品化することになった。

 革靴職人は当初、革に比べてしわになりやすいことを懸念していたが、「独自加工の改良を重ね、職人に直接、通常の人工皮革とは異なる特性を説明することで、無理なく加工できると理解が深まった」。

 来春夏の商談ではティレニーナで20種以上の加工素材を揃えた。平均的な価格帯は、1デシ(10センチ四方)50円~60円台と若干高めだが、保形性に優れているため、本革に対してコストメリットが出てきた。展示会の結果、導入を検討する婦人靴関連の企業が増えており、来春に向けては百貨店ブランドとの商品開発にも取り組む方向だ。

 「一定の品質で安定供給が可能なので、加工のバリエーションを広げることで、革靴市場に大きな伸び代がある」と見る。

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「ティレニーナ」以外にもトレンド素材を幅広く揃えている


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