謹んで年頭のごあいさつを申し上げます。シブヤ109ラボを設立して約4年(繊研新聞での連載も約4年!)が経ちました。毎月200人の若者と接する活動を継続しつつ、毎年違う景色を見せて頂いていることに感謝の気持ちでいっぱいです。
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昨年は「Z世代」がトレンドワードになり、若者への注目が更に高まった年でした。大人が注目するZ世代の間では、今年はどんなものがトレンドになるのでしょうか。
カラフルでハイカロリー
15~24歳の女性425人のアンケートをもとに作った「トレンド予測2022」で、今年のZ世代トレンドの兆しが見えています。
全体としては、コロナ禍の終息がまだ見込めないこともあり、22年も狭く深いコミュニティーを重視し、その関係性を深めることのできる体験消費が主流となることが予想されます。一方で注目すべきは、Z世代が好む世界観の変化。SNSで体験を共有し合う彼らにとって、世界観は欠かせない要素ですが、これは彼らの気分に合わせて常に進化しています。
これまでは、日常を切り取ったようなナチュラル感が重視されていましたが、今年は背徳感を感じるほどの「カラフル」で「ハイカロリー」な世界観がトレンドとなりそうです。
たとえば「カフェ・グルメ部門」にランクインした、自宅で友達と楽しむ「アメリカンパーティー」では、生クリームとチョコレートがたっぷりかかったバナナスプリットやカップケーキなど、見た目からもハイカロリーであることが伝わる食べ物を机いっぱいに並べて楽しんでいます。また、カフェなどの飲食店でも、50年代のアメリカンカルチャーをほうふつとさせる空間に注目が集まっています。
気心の知れた友達と「ハイカロリーな体験」を通して“罪悪感”を共有することが、コミュニケーションの一環となりそうです。
アレンジの余白ある体験
「モノ・コト部門」では、「ビーズキーホルダー」や「タフティング」など、手作りで楽しむものが浮上しているのがポイントになりそうです。友達と相談して自分だけのものを作ることができる“アレンジの余白”がある体験が注目されています。
彼らが注目している体験の共通点は「洗練されすぎていないこと」。近年、Z世代の間で昭和・平成カルチャーに着目したレトロブームが続いていますが、均質化されたデジタルの世界では作り出せない手触り感のある体験がオフラインで求められていることが分かります。ファッションアイテムも、彼らが好む世界観に溶け込めるものであることが重視されるため、今後も彼らが注目する体験に目を向けていくことが必要です。
(繊研新聞本紙22年1月12日付)