謹んで年頭のごあいさつを申し上げます。20年は、生活環境の大きな変化が、自分と社会を見つめ直すきっかけとなった年でした。新型コロナウイルス感染症拡大の終息はまだ見えず、昨年と同様、お出かけと自粛のバランスを模索していかなければならない状況が予想されますが、アラウンド20(15~24歳の男女)の間では、どのようなトレンドが生み出されていくのでしょうか。
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気分を共有して共感に
アラウンド20女子300人のアンケートをもとに作った「シブヤ109ラボトレンド予測2021」からは、新しい生活様式によって醸成されつつある新たな価値観の兆候が見えてきています。
まず、若者のトレンドの全体像を解説すると、注目されるトレンドは、大きく二つの軸に分かれています。
一つはSNSで友達とのコミュニケーションを生みだす装置となる「みんな軸のトレンド」。話題のダンスをしてみたり、カフェで同じ画角・フィルターを使って写真を撮るなど、SNSを通じて彼らの間で共通認識となっているコンテンツを模倣することで気分を共有し、共感を生み出しています。コンテンツのトレンドはかなり流動的なもので、長くても半年のペースで入れ替わっています。
もう一つは、自分に本当に合っているものを取り入れていく「自分軸のトレンド」。「みんな軸」とは異なり、取り入れるか否かは慎重に判断し、〝失敗しない消費〟を実現するのが特徴です。
パーソナル診断に関心
私はこの「自分軸のトレンド」が、彼らの新しい消費実態として、今後さらに広がっていくと考えています。消費において「失敗したくない」という意識が強い彼らが、自分に本当に合ったものを事前に判断できるように、自分の体形や肌質、肌色などを診断で把握することで買い物の精度をさらに高めたいと考えることは、至極当たり前な流れのように思います。
またこのような自分を知ることができる診断に対しては、間違いがないようプロフェッショナルの視点を求めています。関心が高いアラウンド20のなかでは、少し高くても費用を支払って店舗で診断してもらうなどの動きも始まっています。
SNSでの入念な情報収集と、自身に関する情報の両方を事前に持つようになるアラウンド20。〝最終確認〟のためにオフライン店舗を活用しますが、これだけの情報をもったうえで訪れる店舗に彼らが求める体験価値は、確実に変わっていくでしょう。