20年も残りわずかとなりましたが、皆さんにとって今年はどんな年でしたか?
シブヤ109ラボでも、日々の活動をオンラインに切り替えるなど、様々な変化がありましたが、世界規模の大きな変化が起こっている状況下において、次世代を担うアラウンド20(15~24歳の男女)たちの生活実態や価値観の変化と向き合うため、毎月200人と接触する活動を継続していました。
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外出自粛や学校の授業のオンライン化、行事が中止になるなど、思うように生活ができないことへのもどかしさを感じながらも、ヲタ活や自分磨きなど、彼らが好きなモノ・コトに対する熱量は変わっておらず、新しい生活に順応しようと努力し、新しい生活様式の中での楽しみ方を自ら生み出している姿がみられました。
自分自身に目が向く
また、この1年間で外出が激減し、友人との交流や新しい出会いが減ったことで、自分自身に目が向き始めたことは大きなポイントです。SNSとともに生まれ育ち、周囲の人のフィルターを通して自分らしさを認識する傾向にある彼らですが、このコロナ下で自分に向き合う時間が増え、「自分にとって一番大切なことは何か」「自分が大事にしたいモノやコト、時間は何か」を改めて考える機会を経て、衣食住から人間関係など、様々な分野での価値観の変化がみられています。
アラウンド20女子600人のアンケートをもとに決定した「シブヤ109ラボトレンド大賞2020」にも、その傾向が表れています。
例えば、「コスメ・スキンケア部門」はリップや日焼け止め、アイシャドーなどがランクインした昨年と比較すると、今年はスキンケア用品のランクインが目立ち、高価格帯の商品が多くみられました。
グループインタビューでも、「お出掛けが減った機会に、メイクなどでごまかさず、〝内から〟キレイでいられる自分になりたい」という声や、「田中みな実さんのように、年齢を重ねてもキレイを保てるようになりたい」などの声が聞かれ、自分がありたい姿を実現するためのアプローチの仕方が変化していることが分かります。
多様性への受容度高く
SNSを中心に話題となった人物を対象とした「ヒト部門」では、第七世代と呼ばれるお笑い芸人がランキングを席巻しましたが、面白さだけでなく、アラウンド20にとっての「こうありたい」を体現したSNSでの発信に共感が集まったことも理由のひとつです。
そして、〝相手を否定しないツッコミ〟や〝誰かをおとしめたり、傷つけることがないお笑い〟は、「みんなが違って当たり前であり、違いを認め合う」という多様性に対する受容度が高いアラウンド20にとって、負の感情を生まずに自然に楽しめるものであり、自身の大切にしたい価値観にフィットしているのだと感じます。
生活環境の大きな変化が自分と社会を見つめ直すきっかけとなった20年。今年様々な分野で見られたアラウンド20の変化や動向は、一過性のトレンドで終わることなく今後も定着し、新しい生活のスタンダードとなっていくでしょう。
(繊研新聞本紙20年12月9日付)