8月も終わり、店頭には秋らしさを感じるファッションも並び始めましたが、9月も引き続き暑い日が続くようです。若者の間では暑さが和らぐ夜の時間に注目する動きが活発になっています。
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昨年夏ごろから若者の間でナイトプールや夜カフェなど、夜のシーンの体験がトレンドとして挙がっています。昨年12月に発表した『SHIBUYA109lab.トレンド予測2024』でも、「クラブ」がランクインしました。
先日20~24歳の男女約400人を対象に実施した「Z世代のナイトタイムエコノミーに関する意識調査」では、夜(18時以降)のイベント・外食に対するモチベーションが上昇傾向にあることが明らかになりました。
出会いより深い話
夜の過ごし方は、ナイトプールやライブ、クラブなど、従来のナイトタイムエコノミーとしてイメージがあるテンション「アゲ」な体験だけでなく、夜カフェ、夜ピクニックといった友達とゆっくり過ごす「チル」な体験も挙げられています。
またZ世代の生活にはSNSが欠かせませんが、おしゃれな雰囲気が演出されている「チル」な体験は積極的にSNS投稿するのに対し、「アゲ」な体験は投稿を見た人たちの反応が分かれるため、仲の良い友達のみ閲覧可能な「鍵アカ」や「ビーリアル」に投稿を限定するなど、つながっている相手との関係値に合わせて投稿内容を意図的に変えている実態も見られています。
調査の中で実施したインタビューでは、アゲ・チルどちらも、新しい出会いを見つけるために繰り出すというよりも、「仲の良い友達と深い話をして、更に仲を深める時間」として楽しむ様子が特徴的でした。コロナ禍を経て引き続き「深く狭い関係」を重視する彼らのコミュニティーに対する意識も影響していることが分かります。
お酒は必須でない
「アゲな夜」は「昼よりも夜の方が羽目を外している人が多いから安心する」「帰りたい時に終電など言い訳ができる」など、昼の時間よりも他人の目を気にする要素が軽減されること、「チルな夜」には進路や人生相談など深い会話を中心にした会話ができることが魅力として挙げられていました。
そして、若者たちの夜のお出かけに、お酒は必須事項ではないのも特徴の一つです。夜の飲食を伴う外出に誘う時は、「飲みに行こう」よりも「ごはんに行こう」と誘うことのほうが心地が良いと回答した人は、全体の65.9%という結果も出ています。
インタビューでは、相手がどのくらいお酒を飲むのかを直接確認するよりも、ランチや初回の夜のお出かけを通して探り合い・察し合いをしている実態が見られました。
相手の反応を恐れ、「察し合い」をすることは「拒否回避欲求(拒否されたくない)」傾向が強いZ世代の特徴です。「飲み」ではなく「ごはん」とすることで、選択肢が広がり、拒否されるリスクを軽減させていることが考えられます。