「センシー」IBMワトソンと提携、BtoB事業も

2015/06/29 13:25 更新


 人工知能(AI)を使ったファッションアプリ「センシー」を運営するスタートアップ、カラフル・ボード(渡辺祐樹CEO=最高経営責任者)が、立て続けに施策を打っている。技術面で、ソフトバンクモバイルが国内共同展開をはかるIBMワトソンのパートナーに決定し、自然言語処理をAIに組み込む技術開発に着手。販促面では、芸能プロダクション、ツインプラネットのグループ会社リデルと業務提携し、これまで手薄だったプロモーションを本格化する。また、AIをアパレルブランドのECサイトに組み込むといった、企業向けサービスも近く始める。

アパレル企業で高まるAIへの関心

 センシーは、使うほどにユーザーの感性を学習し、国内最大級という2465の提携ブランドから、好みに沿って商品提案する”個々人の専属スタイリスト”を展望するAIロボット型アプリ。慶應義塾大学、千葉大学と共同開発している。今回、IBMワトソンのエコシステムパートナーに選出されたことで、言葉を理解し、会話するAIへの道が開けた。7月末に開かれるソフトバンクワールドで渡辺CEOが登壇し、詳細を発表する。リデルは、同グループにおけるアプリ・ウェブなどデジタル事業を担っており、今後、センシーの公式アカウントの販売拡大やPR、広告収益形態の構築で協業する。

 注目されるは、BtoB事業。「AIの活用で相談が増えている」(渡辺CEO)と言うように、アパレル企業の関心の高さが伺える。現在、①ECサイトへのセンシーの埋め込みによる接客機能②デジタルサイネージやヒト型ロボットを想定した店舗の接客③MD・仕入れ計画への数値支援④データ活用によるEC・リアル店への集客――の4サービスの展開準備を進めている。これに先駆け、通販企業の上場、大手アパレル企業のEC事業立ち上げを経験し、アパレルECに知見の深い石川均氏を同社執行役員として招き入れた。

個人の好みに即したコーディネート提案

 同社は6月、インターネット広告のアドウェイズより追加の資金調達を実施しており、エンジニアの増員、開発のスピードアップを図る。オフィスも移転・拡張した。足元では、6月22日にアプリの新機能をリリース。在庫連携する販売店舗の場所を検索できる「ナビゲーション機能」、提案商品と似た商品を追加検索できる「類似アイテム検索」を搭載し、従来、モデルやスタイリスト向けの公式アカウントに限られていた自身のAIの公開機能を、一般ユーザーにも拡大した。

 また今秋リリース予定で、コーディネート提案機能を開発中。現状のセンシーは単品提案だが、「単品だけ見ても、良し悪しの判断が難しい。コーディネートの一部として、またタンス在庫にない物を提案する機能が必要」とし、全身赤は難しいなどといった、一般的なコーディネートの法則を蓄積し、そこに個人の好みを学習で理解させ、個々人の感性に沿ったスタイル提案を目指す。

AIが作ったコーディネートの試作例。「コーディネートの一般的な正解は導きさせる水準に到達した」と渡辺氏


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