楽天ファッション・ウィーク東京21年春夏が10月12日に始まる。17日までの会期で参加するのは39ブランド。新型コロナウイルス感染防止のため、「デジタルプラットフォームの発信強化、リアル(フィジカル)の発表の両立」へとファッションウィークの在り方が大きく変わるシーズンとなる。単独で参加するブランドのほとんどがデジタルの表現にチャレンジし、コレクションの魅力を新しい視点や方法で伝えることで、消費者とのコミュニケーションを広げようとしている。どんな意識で取り組んでいるのか、参加デザイナーに聞いた。
(須田渉美)
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◇自然光生かし多面的に
「ザ・リラクス」 倉橋直実
ちょうど1年前のファッションウィークからショーをするようになって、前回(20年秋冬)は会場の都合で別日程となりましたが、基本は東京のウィークで発表したいと考えています。
ザ・リラクスのすっとした洋服の美しさを伝えるにはたくさんのモデルが歩くことが必要ですから、ランウェーが理想であることに変わりないです。ただ、今回は外国人のモデルが帰国してしまい、必要人数を確保できなかった。いつもの構成が難しいと分かり、それならデジタルで編集して見せることがベストだろうと判断しました。
そのなかで初めて取り組んだのは、自然光を大事にした日中の撮影です。リアルのショーは、大勢のモデルやスタッフが揃う夜にスタジオで行っていましたが、デジタルでの発表なら自分たちの都合で時間が選べる強みがあります。自然光がきれいに映えるタイミングで撮影し、ブランドの魅力を多面的に見せる構成に工夫を凝らしました。
この半年を振り返ると、何よりアナログな人のつながりが大切なんだと実感します。卸先の多くが顧客と信頼関係を築いていて、こういった状況でも変わらず販売してくださっているのは、とてもありがたい。
ただ、国内で依頼する生地や縫製の工場が一段と厳しい状況にあることが心配です。従来のように品番数を広げるのは難しく、型数を絞ったなかで着実に生産できるよう意思疎通して仕事を進めることが大事だと感じています。