大淵毅氏がデザイナーを務めるメンズブランド「ポストオーバーオールズ」が、23年秋冬で30周年を迎える。周年を記念した特別なコレクションを出すほか、新たなテイストのアイテムにも挑戦するなど、勢いを増している。
同ブランドは93年にニューヨークを拠点にスタート。古いアメリカのワーク服を基にしたカジュアルウェアを得意としている。流行に左右されないタイムレスなアイテムが魅力だ。
「人と同じ着こなしは提案したくなかったし、誰もやらないことをやるブランドを作りたかった」と大淵氏。ブランドのテーマに選んだのが、自身の愛する1900年代前半のアメリカのワーク服だった。当時はアメリカ古着といえば40年代以降のものが中心だったため、〝戦前〟の古着に着想したブランドは珍しかったという。
18年には日本へ拠点を移し、生産も米国製から日本製の比率を高めている。22年10月には東京・代官山に直営店をオープンするなど、順調に国内での認知度が高まっている。
最近は1900年代前半の古着やそれらをリプロダクトしたアイテムも世の中に浸透し、客の見る目も変化してきたという。「立ち上げ当初に比べて環境が変わってきた。古いワークウェアをベースにするというスタンスに、価値を感じてくれている」。
23年秋冬は30周年を記念し、93年のファーストシーズンのコレクションを再現、アレンジして打ち出す。フリースのカバーオール(6万5000円)をはじめ、1910~30年ごろのものをベースにしたアーミーパンツなど、発表当時から色褪せないアイテムがバイヤーにも好評だ。加えて、ヨーロッパの古いワークウェアに着目した新規アイテムも追加するなど、新しい試みも欠かさない。
大淵氏は今後について「ワークウェアは自由な着こなしが楽しめる懐の深いアイテムで、長年愛してくれる顧客も多い。30周年以降も基本を変えずにいい商品を作っていくつもりだ」と話す。
