オザキプリーツ 天然繊維などプリーツの可能性広げる 機械と手作業で独自技術に磨き

2022/02/14 06:29 更新


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昨年11月に移転した新本社と工場

 ファッションに欠かせない製品加工の一つであるプリーツ。宇仁繊維グループのオザキプリーツ(福岡市、尾崎義行社長)は、ファッション衣料用途を中心に高い支持を得ているプリーツ加工メーカーだ。従来難しいとされていた天然繊維への持続的なプリーツ加工「マックス・プリーツ」をはじめ、新たなプリーツ加工技術の開発にも積極的。昨年11月にはマックス・プリーツの生産能力向上などを狙い、福岡市内で本社と工場を移転し新規設備を導入した。

 79年に創業したオザキプリーツは、プリーツの形状を独自にデザインしてアパレルメーカーに提案できる工場として、存在感を発揮してきた。プリーツ加工のほか、製品OEM(相手先ブランドによる生産)も手掛けており、自社内で縫製設備を持つことで、ファーストサンプルは自社で行うなどクイックな対応も強みの一つだ。

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新設備で機械化進む

 近年注目を集めているのが、天然繊維ならではの質感、風合いを生かしつつ、きれいなプリーツを表現できるマックス・プリーツだ。プリーツ加工に用いる素材は熱を加えることで形をセットできるポリエステルや、シロセット加工が可能なウールが一般的。「昔は汗を吸わないポリエステルは夏に着るものではないと言われ、何とか夏でも着られるものにプリーツをかけたいと思った」と尾崎社長は開発当時を振り返る。綿や麻といった素材への加工に挑戦するが、これら天然繊維は洗濯したらプリーツが取れてしまう。そこで目を付けたのがワイシャツなどで一般的になりつつあった形態安定加工だ。しわを付けない技術を、しわを付ける技術に応用することで、天然素材ならではの優しい風合いを生かしながらプリーツ加工を可能にした。生地が固くなる、劣化するなど課題もあったが、薬品の調合や熱処理の調整などで克服、11年には特許を取得し、レディス市場を中心にデザイナーブランドなどでも採用されている。

機械式のプリーツ加工機は手作業では出来ない細かな表現などが可能
型紙で挟んでプリーツの形にセットする

 本社移転も、マックス・プリーツの生産設備増強と工程の機械化が大きな狙いだ。マックス・プリーツの加工は樹脂を含侵させてから乾燥させ、その後プリーツをかけてから洗い、再び乾燥させるという工程を経る。従来、乾燥工程は手作業でアイロンをかけたり、自然乾燥していたりしていたが、大型のシーツアイロナーや乾燥室を導入。生地をプリーツの型紙で挟んで熱をかける真空釜も新調し、釜での加工にかかる時間も1回40分から25分に短縮にした。ベーキングという樹脂を反応させる工程に用いるプレス機も新たに導入、転写プリントの接着工程にも用いる。マックス・プリーツの比率は現在の10%から20~30%へ拡大していく方針だ。海外ブランドからの引き合いも増えつつある。国内の取り組みを強化しつつ、海外にも打ち出していければと先を見据える。

製品OEMにも対応

 従業員は現在36人。今回の移転により、生産能力は従来の月産1万2000着から2万~2万4000着へと倍増した。工場には3種類の機械を生かしたマシンプリーツ設備もある。生地を押し込んで山型のプリーツを作る「クリスタル」が3台、ボックスプリーツなどを作れるサイドプリーツが2台、変化のあるプリーツを作れる「マジョリカ」が1台で、人の手では折れないような機械ならではの細かなプリーツを表現する。

圧力釜も新調し、生産効率が向上
大判のシーツを乾燥させる機械を使い、「マックス・プリーツ」工程の一部を機械化

 もちろん、手作業によるプリーツ加工も多い。型紙に生地を乗せて挟み、熱を加えてプリーツの形を作るため、型紙の作成は欠かせない。型紙に用いるのはカルトン紙という水や蒸気に強い特殊な紙。厚手で、100回以上使うこともあり、ストックとして持つ型紙の種類は「何万とある」という。今回、プリーツに用いる型紙作りの簡素化を狙い、フラッドベッドプロッターも導入した。

 部分的なプリーツ表現が特徴の「プリ・オリオレ」も同社の独自技術の一つだ。綿・ポリエステルの交織素材を折りたたんだ状態でプリーツをかけることで、部分的な加工が可能になり、境界も自然に仕上がる。

 製品OEMも手掛ける。基本的に外注を利用するが、小ロットの受注やファーストサンプルならすぐに対応できるように本縫いミシンやロックミシンなどの縫製設備も保有。数年前からは自社オリジナル製品もECを通じて販売しており、昨年には応援購入サイト「マクアケ」で奇麗なプリーツが長く続き、オン・オフ問わずに毎日着られるメンズ・レディスの「くつろぎデニム」を販売した。開始1日で目標の3倍となる150万円の売り上げを達成、最終的には約390万円を売り上げた。

 同社の主要顧客は百貨店販路を強みとするアパレルが中心。コロナ禍で店舗の一時的な閉鎖などもあり昨年は苦戦した。ただ、「ピンチはチャンス」と捉え、以前から考えていた工場・本社移転を実施した。メイド・イン・ジャパンの高い品質、QR対応に磨きをかけ、国内外への拡販を進めていく。

《チェックポイント》端から端まで折り山が続く

 生地や製品の一部を折りたたんで、ひだになった部分を指す。装飾性や動きやすさを高めたり、立体感を出すために付けられる。端から端まで折り山が続くものをプリーツ(pleat)、途中で消えるものをタック(tuck)と呼び区別する。合繊は熱によって、ウールはシロセット化学的処理などで加工し、洗濯しても崩れない耐久性のある折り目を付ける。プリーツの形式にはアコーディオン、ボックス、インバーテッドなど様々な種類がある。

《記者メモ》かき立てられる想像力

 主に女性のファッションを彩る加工として使われており、古代エジプトの壁画にも描かれていたというプリーツ。平面の生地を立体にすることで、実際に着用して動いたときにどう見えるかなどファッションデザインの可能性を広げる加工の一つだ。「強みはデザイン力」と尾崎社長が話すように、本社には見たことがないような様々な形状のプリーツが並ぶ。毎年様々な新作のプリーツデザインを開発しており、素材から加工までの一貫した提案も強み。プリーツの型紙を作る様はさながら折り紙のような楽しさで、見ているこちらもこんな風に折ったらどうなるのだろうなど、想像力をかき立てられた。最近では箔(はく)加工やプリントなど加工を組み合わせた商品も多いという。これからも様々なプリーツ加工を生み出し、ファッションデザインに新たな可能性を示していって欲しい。

(三冨裕騎)

(繊研新聞本紙22年1月12日付)

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