紳士服のオンリー「ミニマルオーダー」に手応え

2017/07/11 04:30 更新


 紳士服専門店のオンリーが6月から販売している「ミニマルオーダー」が順調なスタートを切った。オーダースーツは気軽に立ち寄りにくく、こだわりも膨らんでしまいがちだが、それをシンプルな提案に置き換えた。次シーズンの先行受注やECを前提とした販売方法と組み合わせることで、ワンプライス(2万5000円)にまとめた。99年に業界初となるスーツのツープライス業態を立ち上げた中西浩一会長兼社長は、ミニマルオーダーについて「社内で3回目となるイノベーション。積み上げてきた経験やノウハウも生かせた」と話す。

 ミニマルオーダーのスーツは、専用のECサイトまたは全店のうちの6店(2店は専用店舗)で扱う。どちらも注文や決済はECが前提だ。これにより受注後、工場向けに仕様書を作成する手間を省いた。

 スーツを作るための採寸は、店舗に予約して行うか、ECサイト上で特製メジャーや動画による採寸ガイドを参考にして自己採寸する。開発したメジャーは、オンリーが推奨する縦1センチ、横2センチ単位で、金具と穴を使って簡単に採寸ができるもの。申し込めば無料で送付する。立ち上げ6日間で全国からすでに300本の申し込みがあった。


専用店舗「オンリー京都テーラー」烏丸店での採寸

 商品は、「品質とコスト競争力とを追求した形」。紡績から一貫生産できる協力工場と組み、オリジナルで32種類の生地を揃える。同時に、佐賀県武雄の自社工場「オンリーファクトリー」のオーダースーツ生産のノウハウも導入した。受注後の納期を2カ月に設定したことで、工場側も生産計画が調整しやすく、生産コストを抑えることが出来た。デザインはタイトフィットなライン一つに絞り、裏地やボタンなどのオプション選択もなしのシンプルなものにした。

 ミニマルオーダーは、オーダースーツの入門編として新規客の開拓を大きな狙いにしている。立ち上がりの受注も8割以上を新規客が占める状況。17年秋冬の販売計画は2万着。「計画的にスーツを買えば、価値の高いモノが安く手に入る。受注生産なので当社や協力工場のロス削減にもつながっていく」と中西会長兼社長は期待している。2年後には年間10万着の販売を目標にする。

ミニマルオーダーを「社内で3度目のイノベーション」に位置付ける中西浩一会長兼社長


この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事