【サンフランシスコ=立野啓子通信員】米ナイキの24年5月期第4四半期(3~5月)決算は、売上高が126億600万ドルで前年同期比2%減、純利益は15億ドルで45%増となった。「ナイキ」ブランドは売上高121億ドルで1%減、「コンバース」は4億8000万ドルで18%減だった。減収要因は、けん引力のDtoC(消費者直販)が51億ドルで8%減(うち実店舗が2%減、EC10%減)となったこと。20年度から、DtoCを成長戦略としてきたため、削減してきた卸が71億ドルで5%増えた。
アイテム別では、主力の靴が82億3700万ドルで4%減と苦戦、アパレルは32億3400万ドルで3%増、用具は4億3000万ドルで35%増となった。粗利益率は44.7%で1.1ポイント改善、営業利益率は12.4%で2.9ポイント伸びた。収益力の改善は物流費の削減が要因。
ジョン・ドナホCEO(最高経営責任者)は、第3四半期の決算発表でも、減速するDtoCの方向転換と、卸の見直しを強調。第4四半期は短期間の挑戦が続いているが、先行きについては改善されつつあるとコメントしている。
アナリストは、伸び悩みは、成長をDtoCに絞った経営陣の読み違いの他に、この1年以上、大きなヒットが見られないクリエイション力の不足を挙げる。今後、夏のパリ五輪での巻き返しもありうるが、ランニング市場では、「ニューバランス」「アシックス」「ミズノ」「ブルックス」などが強く、ライフスタイルのシューズでは「ホカ」や「オン」などがブームで、巻き返しは容易ではないと見られる。
通期決算は、売上高563億6200万ドルで前年並み、純利益は57億ドルで12%増。粗利益率は44.6%で1.1ポイント改善、営業利益率は12.3%で0.8ポイント改善した。