《ニュース2023》戻る外出需要 リアル店での購買も回帰

2023/12/30 06:30 更新


 コロナ禍が収束して外出需要が高まり、アパレル各社の業績が回復してきた。冠婚葬祭などオケージョン需要が元に戻ってきたことも大きい。コロナ禍に大打撃を受け、スーツ離れに拍車がかかった紳士服市場では、リモートワークからオフィスに回帰するビジネスマンが増加し、スーツを含めたビジネスウェアの需要が復調した。

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スーツの平均単価上昇

 ビジネスウェアを主力とする大手紳士服専門店は上期(23年4~9月)、業績を伸ばした。青山商事のビジネスウェア事業の売上高は、期初計画、前年同期比ともに上回った。商品別売上高でもスーツ・スリーピースが前年同期比10%増、ジャケットが20%増だった。オフィススタイルの多様化により、ビジカジアイテムも動いた。AOKIも第1四半期(4~6月)はスーツが堅調で、第2四半期(7~9月)は猛暑もあってクールビズ関連やサマーフォーマルが活発に動いた。「どうせ買うなら良い物を長く使いたい」という消費傾向もあり、両社ともスーツの平均単価は大幅に上昇した。

オフィス出社回帰で紳士服市場も復調

付加価値の高い商品

 総合アパレルは、富裕層に強い百貨店販路の来店客数増が売り上げ増の一因になった。原材料などの高騰で価格をアップする企業が多いが、より付加価値の高い商品企画提案に満足度が上がっているようだ。インバウンド(訪日外国人)の回復傾向も来店増につながり、売り上げを押し上げている。売り場は全体的に減少傾向だが、「百貨店は高単価商品に強く、ニーズが高い」と、販路政策を見直す企業もある。

 リアル店での購買回帰は、OMO(オンラインとオフラインの融合)構築の成果でも見られる。オンワード樫山のOMOサービス「クリック&トライ」は、導入店舗が上期(23年3~8月)に50店増の360店(導入率51%)に広がった。導入店舗は19年度比売上高が13%増となるなど、リアル店舗の客数が伸びている。三陽商会は9月、店舗とEC上の在庫を指定の店頭に取り置き、試着・購入ができるサービス「トライアンドピック」を新たに実装した。

 各種オケージョンが再開し、フォーマル需要も回復基調で、リアル店の客数が増加している。東京ソワールは23年1~9月、増収増益となった。ほかのアパレルでもオケージョン企画を復活させたり、品揃えを増やしている。

(繊研新聞本紙23年12月18日付)

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