ニューバランスジャパンが、スニーカーに代わる新たな成長分野を強化している。この3~4年、売り上げの約半分を占めるスニーカーカテゴリーが業績を引っ張っていたが、「供給調整局面に入った」(冨田智夫社長)として、17年12月期のスニーカー売り上げは前期並みを見込む。
代わりに、この間注力してきたランニングなどのスポーツ用品やアパレル、小売り事業、ウィメンズを新たな成長の柱として育成する。
特に伸びを期待するのは、アパレル。16年春物から同事業をエヌ・エフ・シーから引き継ぎ、自前で販売するようになっており、商品企画をグローバルに近づける試みをしている。16年秋からはアパレルでライフスタイル(日常使い)カテゴリーも本格導入した。現状、売り上げ構成比は5%以下だが、20年度には20%まで引き上げる計画だ。
正価販売の直営店とアウトレット、ECを含むDTC(ダイレクト・ツー・コンシューマー)は、10%強の構成比を20年度には20%に引き上げる。同社の主力事業は卸売りだが、ブランドの世界観と方向性を示すには不可欠として、特に直営店は年3~4店のペースで出店していく。地方の中核都市には230~330平方メートルの大型店、現在複数の店舗がある東京にはカテゴリーを特化させた130~165平方メートルのコンセプトショップを出す。
パフォーマンスビジネスでは現在、ランニングの伸びが際立つ。昨年は1万円以上の高機能品が売れ、同分野の売り上げは1.5倍に増えた。これに加え、近年参入や再参入したゴルフやサッカー、テニスなども販路拡大を進める。
ウィメンズは、既にスニーカーで多くの顧客をつかんでいることがアドバンテージになると見ている。「がちがちのスポーツブランドではなく、ファッションブランドとして受け入れやすい強みを生かして、女性のスポーツライフスタイルに関わるようにしたい」とする。
これら4カテゴリーを新たな成長エンジンとして売上高を年平均10%伸ばし、20年度の売上高は16年度比で1.5~1.6倍とする計画。ただ、17年度はスニーカーの成長鈍化を織り込み、5~10%の伸びにとどまると予測する。
ニューバランスの世界の売上高は約4500億円。うち、日本は約10%を占め、成長率は全体平均を上回る。米本国では世界第3位のアスレチックブランドになることを目標に掲げ、投資を積極化している。