【エグゼクティブキャリアの新市場③】質の高い服がオーラを引き出す

2019/04/29 06:26 更新


 大手アパレルの販売員やバイヤーを経て、パーソナルスタイリストとして買い物同行サービスやセミナーを行っている長谷章江さん(パワー・オブ・スタイル代表)。顧客は管理職や士業で活躍する女性が多い。

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買わなくてもいい

 どこで買っていいか分からない、毎年同じような服を買ってしまうと相談をよく受けます。若い頃からずっと同じブランド、店で買っている人もいます。そこから抜け出したい、自分自身の価値や魅力を上げたいと、パーソナルスタイリストのサービスを申し込んでくれています。

 買い物に行くと相談相手になる販売員ですが、大半の販売員はエグゼクティブキャリアのお客様よりも年が若く、エグゼクティブキャリアにとって服がどれだけ重要かを理解している人は少ないのではないでしょうか。どんな立場のお客様が、どんなシーンに着るのかを理解した上で、お客様が選んだ服がふさわしくなければ、「それは場違いです」と言えるでしょうか。

 役職の高い女性は、真面目で素直な方が多いです。販売員の言うことを受け入れ、実践しようとします。「汎用性が高く、どこにでも着ていけます」と言われれば、その通りに受け取ります。また、試着したら買わないと悪いと思っている人もいるようです。私も販売をしていましたが、試着した人が皆買ってくれるとは思っていません。服は着てみなければ分からないものです。試着だけして帰ってもいいのです。

魅力があふれ出す瞬間

 30代後半~40代の管理職の女性には、「エンポリオ・アルマーニ」の定番パンツや、ドレスで格好良く見せたい人には「ヒューゴ・ボス」、フェミニンさを出したい人には「エポカ」、可愛らしさの中にモード感を取り入れたいときには「アンテプリマ」などを紹介します。

 エグゼクティブキャリアの仕事服に最も必要なことは、質の高さです。上質な素材を使い、丁寧に縫製されていること。動いた時の所作を美しく、変化する体形をきれいに見せるサイズやパターンで作られた服。細部にまで時間やエネルギーが込められていることが感じられる服です。こうした服は若い人が着ると、〝服に着られている〟風になってしまうこともあるでしょう。しかし、経験やスキルを重ねた女性がまとうと、その人のオーラを引き出します。

 買い物同行をしていて、お客様が試着室から出てきた時に、驚くような瞬間に立ち会うことがあります。うまく表現できないのですが、世界がモノクロからカラーに変わるような、うちに秘めていたものが表に弾け出すような、それほどの変化に驚かされます。その瞬間に立ち会えるのが、パーソナルスタイリストの醍醐味(だいごみ)です。

「役職の高い女性は真面目で素直な方が多い」と長谷さん

(繊研新聞本紙19年2月28日付)



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