15年に松屋の初の女性取締役となり、18年3月に初の女性本店長に就いた川合晶子さん。銀座本店では働く女性のニーズに応える品揃えとともに、エグゼクティブキャリア女性をサポートする新たなサービスの導入も進めている。
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エグゼクティブキャリアには共通の悩みがあります。一つは、何を着たら良いのか、立場にふさわしい装いとは何かという悩みです。パーティーに出たり人前で話す機会が増えます。部下よりもグレードの高い服を着ることも必要です。もう一つは時間がないこと。ですから、いつも買っている店で、いつも同じような服を買ってしまいがちです。
各業界、各企業で、女性管理職を増やそうというモチベーションは高まっています。部長や課長、マネジャークラスなど、これからキャリアを重ねていく予備軍も含め、潜在的なマーケットがあります。
肩書が変わるたびに
服に対する価値観はそれぞれですが、立場が変わると、「今着ているものでいいのだろうか」という悩みが出てきます。昇進し、肩書が変わるたびに悩んでしまうのです。仕事服、キャリア服といっても、スーツだけではありません。女性は選択肢が多いからこそ迷います。
立場にふさわしく、自分の魅力を引き出してくれる装いを選ぶことは、ビジネススキルの一つです。どんな風に自分を見せたいのか。強く見せたいのか、女性らしく見せたいのか。第一印象は非常に大事です。見せたいイメージをスタイリングで表現することで、いい意味で目立つことができ、アピールすることができます。仕事で実力を発揮するのはもちろんですが、上手に魅力を引き出す装いは武器になります。〝戦わずして勝てる服〟があるのです。
新しい自分に出会う
以前、プロのパーソナルスタイリストにカウンセリングを受け、一緒に店内を買い回るイベントを実施したところ、非常に好評でした。今春、ファッションコンサルタントがカウンセリングをし、買い物をアテンドする予約制のサービスを開始します。6階に専用のスペースを設け、専門の講習を受けた社員がカラー診断や骨格診断の観点からもアドバイスをします。メインターゲットは役職を持つ女性です。新サービスのトライアルを行ったところ、自分では選ばなかった色やアイテムを試すことができ、「楽しかった」と言ってもらえました。
私自身、若いころから様々なファッションに興味を持ち、経験し、目を養うことができました。今は、男性ばかりの役員会にも出ますし、取引先にも会い、店頭でお客様にも会います。自分の好きなもの、自分らしさを表現できるものに加えて、誰に会うのか、どんな仕事内容なのかを考え、毎日のスタイルを考えています。どう装うかを考えることは楽しいことです。一人でも多くの女性にこの楽しさを伝えたいのです。
(繊研新聞本紙19年2月27日付)