【エグゼクティブキャリアの新市場①】ふさわしい、自分らしい服を

2019/04/27 06:30 更新


 世界経済フォーラムが18年末に発表した「ジェンダー・ギャップ指数2018」によると、日本の順位は149カ国中110位。前年より四つ順位を上げたものの、男女の収入の差、管理職の人数、国会議員や閣僚の女性比率などが低く、政治・経済の場面で女性活躍が進んでいないことを示した。

 世界的にも低水準にある女性活躍の現状だが、上場企業へ女性役員登用を促す動きもあり、リーダー予備軍となる女性の母数は緩やかながらも上昇している。ポジションが変わると、人前に出る機会が増え、会う人や行く場所も変わる。

 立場や場面にふさわしい装いは、どこで買えるのか、何を買えばよいのか、誰に相談すればよいのか悩む管理職女性は多い。悩む女性への解決策の提示は、新しいマーケットの獲得につながるのではないだろうか。

 エグゼクティブキャリアの女性は、どこで服を買い、どんな悩みを持っているのか。日本女性エグゼクティブ協会(JAFE)の協力のもと、仕事服についてアンケートを実施した。インターネットによる調査で、回答数は29。役職は経営者・役員20人、部長級5人、その他4人。年代は30代5人、40代9人、50代8人、60代以上が7人。

 JAFEは男女雇用機会均等法が施行された85年に設立。経営者や企業の管理職、大学教授、弁護士、会計士、医師など各界で活躍する女性への自己啓発の機会提供や、次代を担う女性エグゼクティブの育成に努めている。

一格上を求めている

 「仕事服を買う場所」(複数回答)は、百貨店が圧倒的な1位。7割が百貨店と回答した。その他では、「海外」という回答も複数あった。

 「仕事服で重視するポイント」(複数回答)は、「体形カバー」「自分に似合う服、自分らしさが出せる服」「職場や訪問先の雰囲気にふさわしい服」が同率の1位。それぞれ3人に2人が重視するポイントと回答した。「動きやすさ、機能性」も半数を超え、「女性らしさ、華やかさ」も4割超だった。

 「仕事で着るジャケットの平均価格」は3万円以下が1割、3万~5万円が3割弱、5万~10万円が4割強、10万円以上が2割。百貨店で販売するキャリアブランドのジャケットは3万円台が多いが、より格上の商品を購入していることが分かる。

 「仕事服選びで参考にするもの」(複数回答)は、「ファッション誌」が1位で45%。続いて「販売員のアドバイス」「パーソナルスタイリストのアドバイス」「著名人や女優のスタイル」。どのように装うのか、プロに相談したり自ら研究している。一方、「他社の女性」「社内の女性」は1割程度にとどまり、身近にモデルとなる女性がいないことをうかがわせる。その他の回答では「自分の感覚、好みで決める」が多かった。

悩みはコーディネート

 「仕事服の悩み」(複数回答)は半数が「コーディネートの方法」と回答。2位は「店・ブランド選び」と「価格が高い」こと。「自分をうまくプロデュースする服が見つからない」「信頼を受ける服と華やかさの両立」「ビジネスに合う服が見つからない」「買い物の時間がとれない」という回答もあった。

 「アパレルメーカーや小売店への要望」(複数回答)の1位は「機能性の高い服の開発」。設問では機能性の例として「ポケットがある、しわになりにくい、軽さなど」を挙げたが、自由記入欄にも「名刺を入れるポケットや入館バッジを付けるポケットがなく不便」という回答があり、男性のスーツにある機能が女性の仕事服にないことへの不満は多い。2位は同率で「ブランドをミックスしたコーディネート提案」「販売員のアドバイスやパーソナルスタイリングサービスの充実」となり、「安い服の開発」は最も少なかった。

 スーツやシャツのオーダー経験者は多く、「ある」が6割超。「ないが、今後利用したい」を足すと9割が経験・興味を持つ。「パーソナルスタイリストの利用」も4割が経験していて、「今後、利用したい」も含めると8割に達した。

(繊研新聞本紙19年2月26日付)



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