《ニュース2025》2900万人以上が訪れた大阪・関西万博 未来や伝統のリアル体験に支持

2025/12/31 06:30 更新NEW!


夢前駅から東ゲートに向かう通路の様子(10月)

 160以上の国・地域、国際機関などが出展した大阪・関西万博は、184日間の会期で関係者を含めた累計来場者数は2900万人以上(一般来場者数は2500万人以上)となった。開幕当初は、1日当たり10万人前後の来場者数だったが、SNSやメディアなどでの万博の魅力の発信により〝万博熱〟が高まり、9月に入ると連日20万人を超える盛り上がりを見せた。万博を象徴する公式キャラクター「ミャクミャク」人気は、今も続いている。

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続くミャクミャク人気

 万博の魅力は、普段味わえない世界各国の産業や衣食住の文化をリアルに体験できること。「いのち輝く未来社会のデザイン」のテーマに基づき、全面的キャッシュレス決済や循環型社会を目指した技術の提案、ライフサイエンスやヘルスケアの提案といった未来を見据えた展示や体験型コンテンツが多様に提案された。加えて、各国の伝統産業・文化の展示、楽しめるイベントが各所で開催されたことも、幅広い客層の集客に貢献した。関西圏在住者を中心に〝お出かけ先〟としての地位が高まった。

 当初は「気味が悪い」などの声があったミャクミャクの人気も急上昇し、多彩なミャクミャクとの協業グッズを集積した会場内公式ストアは連日、入店待ちの長蛇の列ができた。会場外公式ストアの人気も高まった。ミャクミャク人気は衰えず、万博閉幕後の会場外ストアは、今でも目当ての商品を求める人でにぎわっている。

閉幕後、11月1日に再オープンした大丸梅田店の会場外公式ストアの初日

 大阪メトロが発表した夢前駅の期間中の乗降客数は4000万人(速報値、1日平均21万7000人)で、地下鉄・ニュートラム全駅の乗降者数は前年同期間比15%増となるなど会場に向かう公共交通機関の利用客数は大幅な伸び。ホテルも空室を探すのが困難となり、行列が続いた飲食店も多かった。「万博によるプラス影響はそれほど感じられない」。会期中、そう話す市内の商業施設も多かったが、万博期間前後と比べると、市内の人出は多く、各所に、プラスの経済効果をもたらした。

共創・体験のレガシー

 各国パビリオンの制服デザイン、ファッションショーやアーカイブ展示をしたブランド、パピリオンのメインパートナーを務めたラグジュアリーブランドなど多くのファッション関連企業が万博に関わった。大阪商工会議所、大阪産業局などが企画推進し、中小企業やスタートアップ440社以上が出展した大阪へルスケアパビリオン。大阪商工会議所と関西ファッション連合の「サステナブルに基づく繊維・ファッション産業の未来共創プロジェクト」では、17社がチームに分かれて共創し、それぞれに〝未来のファッション〟を提案した。ある参加企業は「連携しながら未来を考えることで社員の成長にもつながった。今回を機に新しいものを生み出そうという機運が高まった」と同プロジェクトの経験を評している。出展者や来場者が共創や体験で得た万博のレガシー。それをいかに紡いでいくことが求められている。

(繊研新聞本紙25年12月22日付)

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