《私のビジネス日記帳》ガラスの壁 光畑由佳

2024/06/12 06:27 更新


 アパレル業界は女性が活躍する業種の一つだ。近年、法整備や柔軟な働き方の広がりにより、仕事と生活は以前より両立しやすくなってきた。そして、企業も、(少なくとも表向きには)女性がリーダーになることを歓迎している。

 そもそも、会社という組織と、子育て・介護(いずれも今は男性も進出中だが)などのケアは相性が良くない。だから多くの女性はこれまで両立に苦労してきたし、無理だと思わされてきた。

 「ガラスの天井」になぞらえて、私は「ガラスの壁」という言葉を使う。いわゆる「常識」(アンコンシャスバイアス)と言ってもいい。例えば、チャンスを前にしても「私には無理」としり込みしてしまうなど、本当は外に飛び出せるのに、自分で壁を作ってしまう。彼女たちは、これまで「無理」な世界を生きてきて、ガラスの壁の中にいる。

 私がモーハウスを始めたのは、外で授乳ができない問題を「誰かに何とかして」と頼むより、「自分で何とかした」方が早いと思ったから。「誰か」を変えるより、「自分」が変わる方が簡単なはずだ。だから、勇気を持って変わろう。ガラスの壁を壊そう。

 ただし、男性にできることもある。授乳服のプレゼントや子連れ出勤を男性に紹介するのは、女性の「常識」というガラスの壁を壊してくれるかもと思うからだ。壁は外からでも壊せる。そんなメッセージでこの連載を閉じたい。

(モーハウス代表取締役)

「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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