4月1日、NHK-BS「アナザーストーリーズ」は、「SHIBUYA文化革命」と題し、50年前にパルコが「広告を通じて女性の時代を宣言」したと紹介した。私が新卒で就職した会社だ。山口はるみがポスターに描いた強くしなやかな女性にあこがれて志望したが、彼女は、番組で紹介された故・増田通二が「3人娘」と名付けたクリエイターの一人。同じく小池一子は、商品ではなく、「自分が自分の責任において、道を切り開いていく女性像や生き方」を発信したと番組で語った。
そんな「教育」のおかげで、私は、地方に住んでも、子供を産んでも、自由と自分であることを諦めないですんだ。そして、周囲の多くの女性が出産後、様々なことを諦めてしまう状況を変えたいと考えた。モーハウスはスタートして間もなく、表参道にショップを出した。そこで始めたのが「子連れ出勤」だ。赤ちゃんを抱っこし、授乳しながら働く女性たちの姿は、マスコミでも取り上げられ、政策にも反映された。パルコが、商品ではなく生き方を発信したように、私も、授乳服ではなく産後の生き方を発信したかったのだと思う。
昨年から、渋谷パルコ50周年のポスター展や3人娘の一人、石岡瑛子展が巡回している。50年経ち、女性の時代に見える現在もなお、働くことと生活の両立は課題だ。女性はもっと自由になれるはずだと信じたい。
(モーハウス代表取締役)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。