ミュージアムへ行こう!vol.7

2015/08/17 12:15 更新


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 この連載では、デザインやもの作りのインスピレーション源となるような、知る人ぞ知る服飾系ミュージアムを紹介します。

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京都・二条 ギャラリー110

ファッションを文化としてとらえる場 デザイナーとの触れ合いが刺激に

 京都、二条城から程近い古いビルの一室に、ファッション専門の展示スペース、ギャラリー110(ひゃくじゅう)はある。月1度のペースで、大学教員や学芸員らによる企画展や、若手デザイナーズブランドの受注会を開催。収蔵品や設備を持つ〝美術館〟とは違う、親しみやすい場の雰囲気や企画を通して、若手ブランドや服飾の歴史、思想を紹介する。

専門家が運営

 運営者は、京都服飾文化研究財団の研究員や芸術大学の教員ら8人の〝ファッションの専門家〟たち。絵画や写真などアートのギャラリーは多いが、ファッションに特化した場は、日本のみならず海外でも珍しいという。「ファッションを文化としてとらえ、伝えられる展示・教育の場を」と、メンバーが共同出資する形で、13年に開いた。

 ギャラリーがあるのは、ネイルサロンやデザイン事務所が入居する雑居ビルの4階、わずか25平方メートルの一室だ。「美術館は入場料もかかり、学生や一般の人にとっては敷居が高くなりがち。無料で入れ、肩ひじはらずにファッションの歴史や思想、面白さに触れて欲しい」という思いが、繁華街から離れた静かな立地やこぢんまりした空間に表れている。

 コレクションは持たず、メンバーが専門分野を生かした展示やイベントを企画する。7月には、来場者が着なくなったTシャツを展示・交換する参加型展覧会「コロモガエ:Tシャツ篇」を開催。服そのものを扱うほか、ファッションの切り口でセレクトした本の展示、デザイナーや編集者を招いたトークイベントなど、専門家の知見を交えつつも、型にはまらないユニークな企画が並ぶ。

が差し込む小さな部屋で、月に一度ほど展覧会やイベントを開催する
光が差し込む小さな部屋で、月に一度ほど展覧会やイベントを開催する

 

教育の場として

 東京だけでなく、関西にも多くの服飾系専門学校や大学があり、ファッションの道を志す若者は多い。しかし、ビジネスの面では東京一極集中の構図が根強い。ブランドの展示会なども東京開催が多く、多くのセレクトショップでは取り扱いブランドのコレクションの一部しか扱わないため、関西では直営店の無いブランドの全体像に直接触れる機会が少ないのが実情だ。

 同ギャラリーでは貸画廊として、若手デザイナーズブランドの受注会も開催。美術館とは違って撮影・試着も可能なほか、デザイナーが在廊することも多い。運営メンバーで、ファッション批評誌『ヴァニタス』編集も手がける蘆田裕史さんは、「学生にとって身近な20~30代のデザイナーが、どのように服を作り、ブランドを運営しているのか。服に触れデザイナーと対話しながら、それらを知ることは強い刺激となるはず」と、教育的機能も期待する。

 隣室には、蘆田さんも経営に携わるセレクトショップ、コトバトフクがある。売り場の同質化やセールの頻発など、現在の産業システムに対抗するように、「作り手の顔が見える」国内若手デザイナーズブランドの服を、過去シーズンまでさかのぼって定価で売る同店。その経営方針やセレクトも、学生や消費者にとって大きな刺激となるはずだ。

=おわり

■データ■
住所=京都市中京区西ノ京職司町67の15 1/8ビルディング4階
開廊時間=展覧会による。
詳細はこちらを参照
twitter:@gallery110kyoto
ブログ:http://gallery110kyoto.blogspot.jp
入廊料=無料


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