ミュージアムへ行こう!vol.6

2015/08/17 12:07 更新


 この連載では、デザインやもの作りのインスピレーション源となるような、知る人ぞ知る服飾系ミュージアムを紹介します。

◇  ◇

ベティスミスジーンズミュージアム(岡山県倉敷市・児島)

産業の歴史や魅力がいっぱい

 ベティスミスジーンズミュージアムは、地元ジーンズメーカーのベティスミスが03年、「児島のジーンズ産業の歴史を広く伝えたい」と開設したもの。ジーンズの歴史はもちろん、ものづくりの工程やその魅力がさらに広がるような展示物が揃っている。14年10月には、隣接した場所に2号館を開設し、見応えもさらに増している。

創意工夫は昔から

 1号館ではまず、米国の西部開拓時代にさかのぼって、資料やパネル展示とともにジーンズの起源を学ぶことができる。米国でジーンズが広がった時代背景を知ることができる内容だ。

 次に、60~70年代の日本国内のジーンズブームと並行して、岡山県・児島で国産ジーンズの製造が広がったことを紹介している。児島には昔から製品へのこだわりや創意工夫の精神を持った人が多く、世界から注目されるジーンズ産地になった理由が伝わってくる。

 ジーンズの製造工程も学べるようになっており、実際に使われていた様々なミシンなどとともに、その工程がどのように行われているのかが分かるミニチュアも展示してある。館内には、70~80年以上前のミシンやビンテージジーンズも揃っており、見応えたっぷりだ。

2号館では大きな洗い加工設備も見ることができる
2号館では大きな洗い加工設備も見ることができる

 

こだわりの加工法も

 14年秋に完成した2号館は、もともと工場として使われていた近くの建物を活用したもの。日本のジーンズの歴史を中心に展示している。1号館よりも広いスペースを生かし、館内には普段なかなか見ることのできない大きな洗い加工設備などが置いてある。

 ジーンズを擦って部分的に色落ちさせるヒゲ加工や、型紙をデニム地の上で配反するなどの体験もできる。大量生産時代に、生産効率を上げるために使われた自動機なども展示され、時代の変化を感じることができる。

 ミュージアムを堪能した後は、同社が手掛けるジーンズ体験工房で好みのリベットを選んで打つなど、実際にジーンズ作りを楽しめる。自分の体形や好みを追求したジーンズを作りたい人は、1号館の2階にある「デニムワークス」ショップへ。好きな生地やボタンを選び、オーダージーンズ作りができる。

 同ミュージアムの年間来場者数は4万人。口コミを中心に年々来場者数を増やしている。14年には日本博物館協会に認定され、認知度もいっそう高まっており、最近は海外からの来館者も見られるようになっている。今後も地域活性化につながる発信を目指していく。

■データ■
住所=岡山県倉敷市児島下の町5-2-70
電話=086・473・4460
開館時間=9~18時
休館日=年末年始
入館料=無料



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