店頭で物作りも――良品計画が新しい店舗を作った。16日、東京の錦糸町パルコにオープンした無印良品だ。1フロアで売り場面積2800平方㍍は関東では最大級。スペースを生かし、ほぼフルラインの商品を揃え、見せ方にも工夫を凝らした。モノを買うだけでなく、客が店で過ごす時間を楽しめるよう、カフェや子供が遊ぶ空間を設け、好みのデザインやサイズの靴下がオーダーできる編み機も設置した。
(柏木均之)
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初の試みとして、店内に伊ロナティの靴下編み機を設置した。大人から子供用まで計7サイズをオーダーに応じて編み立てる。パソコン上で自由に描いた絵や柄が入れられる。当面は注文から受け取りまで1週間かかるが、徐々に受け取りまでの時間は短縮していく。
ECでしか買えないレディスの小さいサイズやメンズの大きめサイズもここでならオーダーできる。「店に物作り機能を持たせる先駆け的な取り組み。ぴったり合うサイズや好みのデザインを提供することで、お客様に喜んでもらいたい」と衣服・雑貨部の石川和子雑貨担当カテゴリーマネージャーは話す。
靴下が出来上がるプロセスを直接見られるブースは、インバウンド(訪日外国人)を含め、来店客の目を引く仕掛けになる。オーダーが集中するサイズや柄から潜在的な売れ筋デザインをあぶりだすことも可能。将来的には、足のサイズだけでなく丈も好みに応じて仕上げるサービスも視野に入れている。
もう一つの仕掛けが、親子連れが買い物以外でも自社製品に触れて時間を過ごせる空間。ままごとに使うレジやレンジを模した木製玩具で遊べる陳列や、絵本のあるレストスペースなどを設けた。周囲に子供服やマタニティーウェアを並べている。
生活の基本となる商品を目立たせる工夫も施した。化粧水のボトルを一面に積み上げたパーテーションが化粧品コーナーの場所を教え、スパイスの瓶を積み上げて作った仕切りの横には人気のレトルトカレーを置く。「スペースを生かしてコア商品の見せ場を売り場の随所に作った」(早川正樹店長)という。
豊富な品揃えが売り上げの伸びにつながるとの考えから、衣服の売り場も通常の店の2倍にした。松﨑曉社長は今後も国内で「年15~20の出店が可能」と見る。特に大型店に関しては、1650平方メートル規模の店舗を日本で20年までに100店体制にする考えだ。