算数で極める達人MDへの道《第2講》㊳(佐藤正臣)

2022/07/20 06:00 更新


月別の粗利・仕入・在庫予算を考えよう!④

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:では、Dさん。前回の講義にて宿題としていました、カットソー春物商品の月別アイテム投入の割り振りを発表してください。


:へい(''◇'')ゞ。

前回の講義の商品投入のルール設定として、

  1. 商品の入荷日は基本の入荷は20日
  2. 但し3月入荷の春物の入荷は1日と20日にわける

がありました。今回は、講義用の3月から半年の予算設定なので、3月1日は春物カットソーの標準展開アイテム数である、18アイテム投入することは決定です(詳しくは前回の講義をご覧くださいm(__)m)。

今回のMD予算設計における春物カットソーの投入アイテム数は36型でしたから、残り18アイテムを、どう月別に投入していくのか?という話でした。


:へい(''◇'')ゞ(立場がいつの間にか入れ替わっている(;^_^A)


:私は下記の図のように作成しました!


:なるほど。

3月20日に9アイテムを投入し、3月は合計27アイテムを投入。残り9アイテムを4月20日投入するということですね?


:へい。

今回の売上予算を見ると、3月4月の売上が高くなっています。ですので、3月末にはある程度商品を入荷させた方が良いという判断です。また、5月は若干売上が下がりますが、売上原価が高くなっていますので、4月20日に新商品を入荷させ、春物でもある程度は5月以降も売れる商品を投入したい考えです!


:なるほどです。

では、Dさんが設計した月別の投入アイテム数を軸として、月別の仕入予算の設計を行っていきましょう。


:どのようにしたら良いのでしょうか?


:では、これは前に行った講義の確認なのですが、この3月から8月の仕入予算設計は、売上原価=仕入原価予算としましょう。


:仕入の基本的な考え方である、“売れる分だけ仕入れる!”で、仕入予算の作成をするということですね?


:その通りです。

今回のケースでは8月末に在庫0になるよう予算を組みます(※通常のショップは、6・7月くらいから次シーズンの商品が入荷しているので、在庫0にはならない)。


:へい(''◇'')ゞ。承知しました。


:では、これから月別の仕入予算の作成を作成するのですが、これまでもこの講義で何度も述べているように、手法に絶対はありません!あくまでも、私が独断と偏見で考えるベターな手段ということになります。


:へい。


:私のベターな手段を以下申し上げます。

これまでDさんとともに設計してきた春物カットソー商品の3月から4月のMD予算は以下の通りです。

  • 売上 9,790万円
  • 粗利率51.5% 
  • 粗利高5,040万円
  • 投入アイテム数 36(標準展開アイテム18)
  • 仕入原価予算4,750万円(売上原価と同じ金額)


:その通りです。


:私の場合ですと、仕入原価予算4,750万円÷36(投入アイテム数)という風に計算を行い、1アイテムあたりの平均仕入原価を算出します。金額は、以下の通りです。

→4,750万円÷36≒132万円(1アイテムあたりの平均仕入金額)


:なるほど~( ..)φ。メモメモ(感心している)


:そして、3月の春物投入アイテム数は、Dさんが24型投入と設定しましたから…、

→3月の仕入予算は、132万円×27(3月投入アイテム数)≒3,563万円

→4月の仕入予算は、132万円×9(4月の投入アイテム数)≒1,187万円

というように、月別の仕入予算を決定していきます。

:ブラボーです!以下が完成した予算です!


:Dさん。

これで月別の仕入予算が完成し、在庫予算も完成しています(図は夏物商品も完成させている)。当然のことですが、商品を発注する際は、1アイテムあたりの金額を同じに発注するわけではなく、売れるものはドカン!と、実験的な商品はほどほどにと、数量にメリハリをつけて発注してください!


:へい(''◇'')ゞ。かしこまりましたm(__)m。


:次回は、いよいよ最終回です。完成した予算の在庫の部分をチェックして、フィナーレとなります。


:( ;∀;)(感動…。)

では、皆様。次回もお楽しみに(@^^)/~~~

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佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



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