MDが使う「算数」をショップ運営に役立てよう!《第3講》㉞(佐藤正臣)

2024/01/24 06:00 更新


(第3項)ショップの在庫は足りないの?多いの?

9. 売上構成比と売場の見た目構成比と在庫構成比①

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前回までの講義で、在庫回転率と在庫消化日数について学んできました。



せんせの講義を受けて以降、ショップのカテゴリー単位での在庫回転率や会社から送られてくる単品商品別の売上ランキング表で、売れ筋商品の在庫消化日数を常にチェックするようになりました!



Tさん、それは素晴らしい心掛けです。きっと、Dさんの指導が素晴らしいのでしょう。



はい。私の指導の賜物です。



Dさんの指導力の素晴らしさが、読者の皆様に伝わったところで(笑)、講義に戻りまして、引き続き在庫のお話になります。Dさん、Tさん、今回もよろしくお願いいたします。



よろしくお願いいたします。



先ほど、Tさんから商品の売上ランキング表で、売れ筋商品の在庫消化日数をチェックするようになった!というお話がありましたが、Tさんはどのくらいの頻度で商品ランキング表をチェックしていますか?



毎日、様々なショップ業務がありますので、流石に毎日はチェック出来ていませんが、金土日の週末と新規商品を多く店頭に展開した翌日は、必ずチェックするようにしています。



Tさん、それは素晴らしい心掛けです。

ところで、Dさん。御社の商品単品別売上ランキング表(以下、ベストセラーレポートと表記)は、以下の図のような感じですか?


はい、そうです。せんせのMD講義を受講する前は、弊社は売上と粗利。在庫は別々に表記される仕組みになっていましたが、MD講義受講後は、教えて頂いたExcelテクニックで、売上・粗利・在庫を合体させて表記するようにしました。

さらに、私の部長就任後は、会社に働きかけてPOSシステムを刷新することになりましたので、最初から売上・粗利・在庫が併せて表記されるようになりました。SKU別でも出せますし、在庫消化日数の記載もありますね。



すごい!Dさんは、最早権力者なのですね。



そうでもないです。



では、本題に戻りまして、Dさん、Tさん、お二人に質問です。

 ”同じ業態で同じ商品。同じ商品展開数のショップA・Bがあったとします。ショップAの売上上位ベスト10の売上構成比は40%でした。ショップBのベスト10の売上構成比は30%でした。A・Bどちらのショップの方が売れている可能性が高いと思いますか?”



せんせ、商品のベストセラーレポートの売上上位10品番で、売上構成比が何%なのか等という、見方はあまりしたことがありません。



私は、弊社の好調時のベスト10・20・30の売上構成比は把握しています。また、時間軸でも変化するので、その辺のことも把握していますね。



流石Dさん。ということで、先にTさんから質問に答えてもらいましょう。Tさん、どうですか?



はい、自信が全くないのですが、、、ショップBの方が売れています。



その理由は何ですか?



ショップBの方が、売れ筋が偏っていなく、満遍なく商品が売れているので、その方が売れている可能性が高いように思えます。



Dさんはどうですか?



私はショップAだと思います。Tさんが言ったように、商品が満遍なく売れるショップは、売れているようにも感じますが、違う視点でみれば、ショップBは上位品番の売上構成比が低いので売れ筋商品がない。売れ筋商品がないということは、ショップの売上がそんなに伸びない可能性が高いのではないでしょうか?



流石Dさん。私もDさんと全く同じ意見です。今回の質問は、あくまで可能性の話ですから、絶対に私やDさんが正しいというわけではないのですが、私の経験上、ショップの売上が大きく伸びるのは、ヒット商品が生まれた場合がほとんどでした。

ショップ業務スキル向上でも売上が上がるのは、間違いないのですが、お客様が売れ筋商品を欲しい期間・欲しい数量の在庫が、ショップで確保出来ていれば、大きく売上が上がります。結果、売上上位品番の売上構成比が高くなる!ということですね。



なるほどです!



ですので、現状の上位品番の売上構成比は常にチェックするようにしましょう!また、ショップの売上好調時の上位品番の売上構成比を把握することで、現状との差をチェックし、ショップの現状が、売上好調時の売上構成比と大きくずれているのならば、商品そのものに問題がある可能性が高いので、ショップのVMDやショップ独自の売れ筋商品の構築・在庫の確保。また、接客等の戦術面を強化する等のことが必要です。

また、本部のMD等に、商品の意見具申をする材料としても活用しても良いと思います。



Tさんに商品のことを言われないように頑張ります。ですが、ショップ側が抽象的な内容で本部に意見具申するのではなく、数字を使い具体的な意見具申が出てくるような組織は、私にとっては理想的と言えますので、商品に関して気づいた点があれば、Tさんにはどんどん意見具申をしてほしいです。



はい、了解しました。また、先ほどDさんが仰っていたように、時間軸による上位品番の売上構成比も把握しておかなければなりませんね。頑張ります。



ということで、今回の講義は終了です。次回は、売上構成比だけでなく、ショップの見た目の構成比や在庫構成比についてお話いたします。



では、皆さん。次回もお楽しみに!

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佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



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