(第3項)ショップの在庫は足りないの?多いの?
8.在庫回転率(日数)と在庫消化日数③
前回までの講義で、在庫回転率と在庫回転日数を学んできました。今回の講義は在庫消化日数を学んでいきます!
せんせ、在庫消化日数は在庫回転率・日数と何が違うのですか?
Tさん、良い質問です!在庫回転率と在庫消化日数の違いは、簡単にいえば、計算の仕方と計算式が違いますね。
せんせのMD講義を受講した私が、在庫消化日数の計算式をお伝えします。在庫消化日数の計算式は以下の通りです。
在庫消化日数=前日時点の在庫数÷1日の平均売上数
なるほどです。確かに、在庫回転率とは計算式が違いますね。
では、ある例を用いて在庫消化日数を計算してみましょう!
ある売れた商品Bがあるとします。商品Bの1日の平均売上数は12点。前日の時点在庫数は500点だった。この場合、商品Bの在庫消化日数は以下の通りになります。
500点÷12点=41.7日
商品Bは、これまでのペースで売れると在庫が約42日でなくなることが分かります。組織によっては、在庫消化週数や月数で表示しているところもありますが、意味としては同じことになります。
なるほどです。とても勉強になります!
在庫消化日数を使用する目的は、これまでペースで売れると、どのくらいの期間で在庫がなくなるのか?というアラートシステムを構築するといった感じですかね。
MDにとってはとても大事な指標で、常にチェックをしています。基本的には商品単品でみる場合が多いのですが、分類別でみる場合もあります。
この在庫消化日数は、商品の販売終了日とあわせてみるとより効果を発揮しますよね。
例えば、ある売れた商品Bの販売終了日があと60日だった場合、在庫消化日数が41.7日だと、もう在庫が足りなくなっている。今後、商品の機会損失が発生する可能性が高い!逆に、販売終了日があと30日だった場合は、かなり数量の在庫が残る可能性が高い!などですね。
Dさん流石です。すごくわかりやすかったです!
Dさんの仰る通りです。ショップでは、売れ筋商品のチェックなどに使用するとよいでしょう。
了解しました!
しかし、この在庫消化日数という指標は、信じすぎてもいけません。例を用いて理由をご説明します。
現在、10月15日だと設定します。
9月1日~10月31日までが販売期間のブラウスAがありました。
ブラウスAの10月15日時点での在庫数は300点です。
これまでのブラウスAの1日の平均売上数は20点です。
では、Tさんに質問です。ブラウスAの在庫消化日数は何日になりますか?
はい。300点÷20点=15日。在庫消化日数は15日です!
その通りです。販売終了日が10月31日ですから、このままのペース売れれば、ブラウスAの在庫は残らなそうですね。
さらにTさんに質問です。このブラウスAは、9月最初の1週間と10月に入ってからの1週間の売上数は、同じだと思いますか?
感覚でしかないのですが、レディースのブラウスの売上は、9月中旬から末をピークに、売上はどんどん下がっていくと思います。
私も様々な組織で売上のデータを見てきたのですが、Tさんの感覚は合っていると思います。
では、10月からのブラウスAの売上数は下がると想定して、直近1週間の1日の平均売上数が8点だった場合、在庫消化日数は何日になりますか?
300点÷8点=37.5日。在庫消化日数は37.5日です!
ということは、このブラウスAは、10月31に日の販売終了日までに在庫がなくなる可能性が高いですか?低いですか?
現在が10月15日で、在庫消化日数が37.5日。1カ月以上経たないと在庫がなくならない数字になっています。また、今後さらに売上の低下が予測されますので、かなりの数量の在庫が余ってしまいそうです。
Tさん、素晴らしいです!その通りです。在庫消化日数の数字をチェックする際の注意点として、組織によっては、在庫消化日数がPOSシステムなどに自動的に反映される場合が多いので、「1日の平均売上数の算出を、どのくらいの期間でとっているのか?」を、しっかりとチェックしなければなりません。
また、在庫消化日数はセール時にもイレギュラー数字が出やすいので、そのようなチェックも必要となってきますね。
なるほどです。
しかしこの在庫消化日数という指標は、ショップ側にとって在庫の現状を知るには、とても役立つ指標となりますので、ぜひショップの仕事の精度を上げるためにも活用してみてください。
ということで、今回の講義は終了です。次回は、さらにショップの仕事で役立つ在庫のお話をします。
了解しました。では皆さん、次回もお楽しみに(@^^)/~~~
佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp