経済産業省は9月8日、3月に公表した中小企業の資金繰り強化や収益力改善、事業再生などを促す総合支援策「中小企業活性化パッケージ」を見直し、新たな施策「中小企業活性化パッケージNEXT」を策定した。財務省、金融庁と連携して、今後、パッケージに沿った支援策を進める。新型コロナウイルスに対する緊急経済対策として措置した日本政策金融公庫(日本公庫)、商工組合中央金庫(商工中金)など政府系金融機関による実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を9月末までの申し込み分で終了する。一方で、金融機関による伴走支援型特別保証の保証限度額の引き上げを軸に「事業再構築などの前向きな投資をさらに後押し」(神崎忠彦中小企業庁事業環境部金融課長)する。
ゼロゼロ融資はコロナ禍で業績が悪化した中小・小規模事業者を対象に、政府系金融機関で20年3月、民間金融機関で20年5月に開始した。民間金融機関の同融資は昨年3月に終了したが、政府系金融機関では複数回、期限を延長してきた。融資実績は民間金融機関が20年5月~昨年3月までで、約195万件、約37兆円、政府系金融機関が20年3月~今年6月で日本公庫で約93万5000件、約15兆6000億円、商工中金で約3万6000件、約2兆6000億円。繊維・ファッション関連企業の利用も多かった。
政府系金融機関でも同融資を終了するのは「足元の融資の申し込み件数がコロナ禍前の平時と同程度に落ち着いてきた」ため。「スーパー低利・無担保融資」の期限を9月末から今年度末まで延長して貸付限度額を引き上げ、「セーフティネット保証4号」(保証上限額2億8000万円、100%保証)とセーフティネット貸付の金利引き下げの期限も9月末から12月末まで延長するなどコロナ対策は継続しながら、「ポストコロナに向けた段階的移行のための施策」を強化する。
伴走支援型特別保証は経産省の予算事業で、繊維・ファッション企業の利用も多い「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」などの活用を含め、事業者が「前向き投資」を行う際に、金融機関による伴走支援を条件に、保証料を引き下げ、保証限度額を引き上げる。
併せて、中小企業基盤整備機構が出資する再生ファンドの新設を促進、民間出資者に「優先的に分配する仕組み」などを整備する。