経済産業省は、ICタグを用いた情報共有システムの運用実験を12~28日に実施する。メーカー、卸、小売りから家庭まで含めた大規模な実験となる。
実験の内容は大きく三つ。一つはサプライチェーンのプレーヤー間の連携だ。メーカーや物流センターで実験対象の商品にICタグを貼り付け、出入荷のデータを実験用の情報共有システムに蓄積して、在庫情報を可視化する。
二つ目は小売店舗と消費者の連携を検証する。実験対象の店舗はウエルシア千代田御茶ノ水店、ココカラファイン清澄白河店、ツルハドラッグ目黒中根店、ミニストップ神田錦町3丁目店、ローソンゲートシティ大崎アトリウム店の5店。商品棚にICタグリーダーを設置し、消費・賞味期限が迫っている商品を特定。専用のLINEアカウントから消費者に向けて、その商品を買うと現金値引きやポイント還元ができるという通知を行う「ダイナミックプライシング」という取り組みを実験する。また、商品棚から客が商品を手に取るとその商品の広告がデジタルサイネージ(電子看板)に表示されるなどの実験も行う。
三つ目は家庭内サービスの実験だ。東京ガス横浜ショールーム「くらしのライブラリー」でICタグを活用した家庭内サービスのアイデアを展示する。また、経済産業省本館1階ロビーでは、ICタグを読み取る機能が付いた冷蔵庫を展示する。
国内の消費・流通に関わる企業や事業者は人手不足と労務コストの上昇に直面しており、サプライチェーン全体では食品ロスや返品といった様々な課題を抱えている。ICタグを活用し、情報共有を実現することで作業の効率化などを図り、課題解決を目指す。今回の実験を通し、データフォーマットやルールの検討を進める。