《めてみみ》台湾雑感

2025/02/05 06:24 更新NEW!


 「台湾経済の堅調さは何が理由なのでしょうね」。あるアパレル企業の社長がつぶやいた。日本の繊維・アパレル産業の課題が海外市場の開拓・拡大であり、同社も台湾を注目エリアの一つに挙げる。世界全体が何か重苦しいなかで、台湾は着実な経済成長を続けている。

 教科書的に言えば、TSMCに代表されるハイテク産業をはじめ製造業の比率が高く、輸出を力強くけん引する。大手企業だけでなく、中小企業が元気なのも特徴だ。人口2800万人、九州より少し小さい国土ながら、それ以上の存在感を示している。

 年始に台湾南部の高雄を訪れる機会があった。街歩きの途中、ふと路地を曲がると露店がひしめく自由市場を見つける。驚いたのは呼び込みをかける露天商の声の大きくにぎやかなこと。年末の東京・上野のアメ横商店街以上である。行き交う人の顔も明るい。こうした庶民の元気さが台湾経済を支えているのだろうなと思った。

 日台間の往来は今後も増えていく。かつてのように「親日だから」という理由でビジネスを組み立てる人はいないだろうが、ファッション業界でも改めて台湾を見直す流れが加速しそう。トランプ政権がどんなアジア外交を進めていくのか、台湾有事が起こりうるのか。米中の厳しい状況は続くが、台湾庶民の平穏な日々が損なわれないことを願う。



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