新型コロナが5類感染症に移行して以降、街の人流は本格的に回復し、商業施設も活気を取り戻している。23年度の売上高がコロナ禍前の実績を超えただけでなく、過去最高額を更新した施設も多かった。
その大半が、主力商圏の人口増加を背景に売り上げを伸ばしている。大都市中心部では来街が回復した就業者やインバウンド、郊外や都市近郊では周辺のマンション開発などで増えた若いファミリー層などの需要を捉えた施設が多い。
一方、足元商圏の人口が減少している中で伸ばしている施設もある。相鉄グループのジョイナステラス二俣川がその一つ。足元の横浜市旭区の居住人口は住民の高齢化の影響で微減傾向だが、18年の開業からコロナ下も含めて売り上げは順調で、23年度売上高は前年、19年度実績ともに上回った。
駅直結立地の強みを生かしながら、「来たくなる」「買いたくなる」をキーワードに、一人の客の来館と利用頻度を増やすための商品提案、販促を積み上げてきた。昨年10月に大型改装し、足元商圏客の日常生活需要への対応を強化したことも後押しした。週に3回前後利用する客も多い。
現在人口が増えている地域でも少子高齢化が進み、将来は多くが減少に転じる。環境変化を見据え、テナントと連携しながら、ファン作りを地道に続けることが商業施設にとってますます重要だ。