政府はエネルギー価格高騰に対する事業者支援策として、地方交付金を活用した都道府県の電気料金補助の対象に、「特別高圧契約」(特高圧契約)で受電する「中小企業者等」を加えると決めた。
経済産業省が1月の使用分から始めた電気料金の値下げ補助の対象は低圧、高圧契約で、繊維関連企業やSC、百貨店など大型商業施設に多い特高圧契約は対象外。電気代の高騰が企業の負担となる中で、枠組みは異なるとはいえ、特高圧契約が対象となるメリットはファッションビジネス業界にとっても大きい。
ただ、懸念材料も多い。この交付金は21年4月からの大型商業施設に対する休業要請協力金と同じ仕組み。国が大枠の方針を示すが、具体的な制度設計と施策の実行は都道府県に委ねられる。休業協力金と同様、自治体によって解釈や対応が異なり、不公平感や混乱を招きかねない。
国の方針も、混乱を生んだ休業協力金と比べて明確とはいえ「中小企業等」の「等」に「大手企業」が含まれるのかがはっきりしない。特高圧契約を結ぶ企業は大手も多く、重要な問題だ。
支援策は産地組合も含めた業界団体が自治体に要望を出さなければ、実行されない。団体は事業者の声を自治体にしっかり届けることが不可欠。自治体がその声に応えられるように国がフォローする態勢も必要だ。