《めてみみ》納期遅れを乗り切る

2022/06/16 06:24 更新


 「店の意識が変わってきた」と首都圏のSCの館長。4月ごろから、中国・上海のロックダウン(都市封鎖)の影響による衣料品の納期遅れが深刻だ。市況は回復基調にもかかわらず、機会損失で売り上げが伸び悩んだ店舗も多い。しかし、このSCの店舗の大半は難局を乗り切り、館全体の4~5月の衣料品売り上げは19年同期実績も上回った。

 「納期遅れの発生を前提に、先手先手で対策を打った成果」という。1月下旬ごろから、納期遅れが起こる可能性を予測し、取引先に対し「その場合、代わりに何を売るのかを明確にし、在庫も確保してほしい」と働きかけた。多くの取引先がこれに応え、本部と店舗が一体となって準備した。あるレディスブランドは新商品の入荷遅れを過去のヒット商品や買い付け品で補い、成果を上げた。

 多くの店舗が代わりの在庫を確保するだけでなく、「店頭のVMDでスタイリングを提案し、SNSでも情報を発信して誘客と購買につなげた」。「その時期に確実にある商品をしっかり売るという意識を徹底できた」という。

 このSCではコロナ下で店舗と本部とのコミュニケーションをより緊密にし、売る商品の明確化とSNSでの情報発信、VMDの強化策を積み重ねてきた。これまでの地道な積み重ねがこの難局で生きた。一朝一夕には成果は出ない。



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