《めてみみ》若者をひきつける

2022/05/23 06:24 更新


 エシカル(倫理的な)ブランドのインターンや、エシカルファッションを自ら作ろうとする学生と会う機会が重なった。学生は生産国の貧困問題や環境負荷などファッション産業の負の側面を学びながら、誰も傷つけずに楽しめるファッションとは何か、どうすればエシカルな選択肢が増えるかを真剣に考えていた。

 ガーナに自社工場を持つブランド「クラウディ」が東京・渋谷で開いた期間限定店は、学生インターンも一緒に企画・運営した。店舗では、教師を目指す大学生や環境問題を学ぶ大学院生が、ファッションの廃棄問題やクラウディの物作りの背景、現地の職人の声を紹介する時間も設けた。

 学生の姿を頼もしそうに見守っていたクラウディを運営するDOYAの銅冶勇人社長に「学生たちはよく勉強していますね」と話しかけると、笑顔で「机の上ではかないません」との返答。

 現地に足を運び、そこで生きる人と課題に向き合い、未来のために何が必要かを一緒に考え、行動する。現場で苦労し、汗を流したからこそ得られたものは、机上の学びを超えるものだろう。

 そうした経験を持つ大人や、苦労を経て生まれた商品を魅力的に思い、集まる若者がいる。ファッションへの関心が低下していると嘆く前に、若者を引き付ける人や商品を生み出しているか、今一度、見つめ直したい。



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