ユナイテッドアローズが今春夏~秋冬に全品番の2~3割の商品を1~2割値上げする。昨年末の取材で松崎善則社長は「(値上げは)不本意で極力やりたくない」としていたが、生産、物流コストと原燃料価格の上昇から一部商品の価格を見直さざるを得ないと判断したようだ。
ファッション業界はこのタイミングで値上げをするか否か悩んでいる。日本の平均所得は16年からほとんど増えていない。単純なコスト上昇分の価格転嫁では、消費者が受け入れない可能性が高い。
あるスポーツ用品メーカーは「ユニクロがどう出るのかを注視している」。売上高が日本のアパレル消費市場のほぼ1割を占めるブランドが何をどれだけ値上げするかが、ある種の指標になると考えているようだ。
そのユニクロを擁するファーストリテイリングは、現時点で品番数や値上げ幅は明らかにしていないが、今春夏物は「何品番かは値上げするが限定的」とする。秋冬物は割高感を与えないよう、価格と価値のバランスを考え、客に「受け入れられると判断したものを上げる」
ユナイテッドアローズも値上げの基準を「一律ではなく、値上げした価格に見合うクオリティーがあるか」に置く。食品と違い、同一商品の値上げを消費者は受け入れない。価格と価値のバランスがこれまで以上に厳しく問われる。