《めてみみ》魔を滅す

2022/02/02 06:24 更新


 明日3日は節分の日。邪気払いや無病息災を願いながら、弓で無形の鬼を追い払った追儺(ついな)という平安時代の宮中儀式が起源とされる。節分の翌日は立春の日であり、文字通り季節を分ける節目の日。一年で最も寒く、健康を損ないやすい時期でもあり、病や災いを追い払うには格好の日である。

 室町時代になると弓は姿を消し、今のように豆をまくようになった。「魔を滅す」という語呂合わせから、豆まきに変わったという説が有力で、特に煎って神前に供えた「福豆」は効能が高いとされる。権力が宮中から武士階級に移っていった時期で、宮中に弓を持つような人材がいなくなったことも一因だろうか。

 1月中旬、「節分くらいが感染のピーク」と話す専門家の声を聞いたが、まだ当分は我慢の時期が続きそうだ。テレワークも再び増え、家で過ごす時間が多くなった。年齢を重ねたためか、気が付けばこれまでになく、季節ごとの行事を大事にするようになった気がする。

 思えば、この国には何と多彩な四季折々の行事があることか。初詣、七草がゆ、節分と来て、雛(ひな)祭りや花見も間近。いにしえの人々も、四季の移り変わりに合わせて衣装や食べ物を楽しんだことだろう。まずは明日、恵方巻きを食べ力いっぱい豆をまくか。我慢の時期を過ぎれば、春はすぐそこまで来ている。



この記事に関連する記事