《めてみみ》成熟の光景

2021/11/10 06:24 更新


 中国の消費が8月から転調したようだ。特に上海では、商品の選び方が価格の高低や国内外製、有名無名を問わず「質重視」に変わり、活発だった高価格品の購買意欲が弱まったという。商業施設関係者によると、客単価約500元以上の名の通った飲食店がここにきて不調らしい。

 ネット販売も変調していると聞く。〝ダブルイレブン〟の販促真っただ中だが、ある小売業者は「今年は動きが今一つ。本番の11月11日のさらなる値引きを待っているのか、よく分からない」と首をかしげる。

 新型コロナウイルス再燃の影響が大きいのだろうが、電力供給制限などから買い物を控えるムードがある。加えて、消費の成熟化が一気に来ているのかもしれない。

 アパレル関連では10月初旬にCHIC(中国国際服装服飾博覧会)、上海ファッションウィーク(FW)が開催されたが、ともに驚くほど活気が薄れた。

 春のCHICは「智能生産」「緑色製造」など大手企業が業界を先導するテーマの打ち出しで華やいだが、それが消えた。FWも「副業で運営する店の売り上げが悪くなった」ためバイヤーが減ったのが実情のよう。その傍ら、あるショールームでは他国のデザイナーブランドに中国人バイヤーが多く集まる光景に出くわした。そこかしこに表れ始めた成熟化を、よく見ていく必要がある。



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