《めてみみ》そろりと動く

2021/11/09 06:24 更新


 大手百貨店の10月売上高は前年同月実績を上回った。緊急事態宣言などの解除で、3カ月ぶりに売上高・客数が改善した。コロナ禍前の19年比も消費増税後の反動減があったとはいえ、増収に転じた。新型コロナウイルスの新規感染者数の減少傾向もあり、久々の復調の兆しで店頭に活気が戻ってきた。

 ラグジュアリーブランドや時計、宝飾品など高額品が引き続き好調で、衣料品などファッション関連が上向いた。「外出予定に合わせて洋服を購入するお客様が増えた」(三越伊勢丹)、「食事会や発表会、お受験といったモチベーション需要の動きが良かった」(高島屋)という。外出機会の増加が衣料品需要を底上げした。

 月後半からの気温低下で、コートやセーター、マフラーなど防寒アイテムの実需が本格化した。伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店は婦人服が2割増で、ブルゾンが2倍、コートが1割増。ロングを中心にブーツも2割増だった。「目的買い、まとめ買いの来店客が多かった」(都内百貨店)という。

 入店客数は売り上げの伸びに比べて少なかった。感染再拡大の懸念から不要不急の外出を控える傾向は続いている。「クリスマスケーキやおせちの予約販売は好調で、単価の高い商品から動いている」と家ナカのニーズが強い。本格的な消費回復に向けてそろりと動き始めた。



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