《めてみみ》構造的課題

2020/08/13 06:24 更新


 日本ショッピングセンター協会(SC協会)が7月に発表した昨年の国内SC総数は3209施設で、18年に比べて11施設減った。総売上高(推計)も前年比2.2%減の31兆9694億円。SC総数と総売上高が前年割れとなったのは初めてだ。

 SC協会によると、昨年は46施設が開業、一昨年の37施設を上回った。にもかかわらず、総数が減ったのは57施設が閉館または大型改装で、協会が規定するSCの条件を満たさなくなったため。57施設の中には営業を再開する予定の施設もあるようだが、順調に市場規模を拡大してきたSC業界が大きな転換期に入ったことは明らかだ。

 背景には対ECを含めた競争激化や消費者ニーズの変化・多様化、人口減の中での地域間格差の拡大などがある。これらはここ数年、業界で盛んに議論されてきた「構造的な課題」だ。

 コロナ禍でSCを含め、ファッションビジネス業界の経営環境は一段と厳しい。SCに出店する有力アパレル企業でも業績悪化を背景に、不採算ブランド・店舗を廃止する動きが相次ぐ。訪日外国人客の激減や外出自粛などが影響しているが、コロナ前から起こっていた構造的課題が一気に噴出した結果。

 構造的課題に対応するために、経営者はいま一度顧客を見つめ直し、目先の利益に左右されず、長期的な視野に立つべきだろう。



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