コロナ禍の3月中旬、ひっそりと全面リニューアルオープンした商業施設がある。青森県弘前市駅前の「ヒロロ」(運営マイタウンひろさき)が理想形に近い館に生まれ変われたのは、従来のディベロッパーとテナントという関係を超え、地元の個店「サークルアオモリ」と協力した体制があったからこそ。
サークルアオモリを運営するブルージュの石戸谷知倫代表は自社で既存FCやセレクト業態のレディス版、ヤング向け雑貨のFCなど3店を出しただけでなく、1年以上前からリーシングを手伝い、館全体の空間をプロデュースする人材の紹介などの役割を担った。それを受け入れる館側の真摯(しんし)な姿勢が魅力ある施設を実現した。
SCディベロッパーとテナント企業の共存共栄のためには何が必要だろうか。コロナ禍で休業を強いられた商業施設に入居するテナント企業にとっては、賃料や販促協力費の減免が大事なのは間違いない。だが、それだけではないはず。
特に地方の小規模な商業施設は地元に愛される館を作るために両者がモノ・ヒト・コトの全てで協力し合うべきだろう。「足元商圏を大切にした地域密着型の館を目指すヒロロにとって、入居する地元の個店は大きな強み」と話すマイタウンひろさきの大中廣社長。今回のような試みが他の地方にも広がることを期待したい。