《めてみみ》高野山の企業墓

2019/10/09 06:24 更新


 世界遺産に登録されて以来、和歌山県の高野山は観光客が増加、外国人が選ぶ人気観光地にも常にランクインされている。信仰の中心地となる奥の院に向かう参道は、スマートフォン片手に撮影に興じる国内外の人々でにぎわう。

 歴史的な寺社、数々の戦国武将の墓、木立ちに覆われた参道をはじめ、目に映る景色も魅力十分だが、やはり一番の人気はスピリチュアルな要素にある。奥の院にある空海の御廟(ごびょう)も信仰上はお墓ではない。空海は、世界平和や人類の幸福を願いながら今もこの場で瞑想中とのことで、1日2回の食事を届ける「生身供(しょうじんぐ)」は、1200年の間1日も欠かさず続けられてきた行事だ。

 参道の途中、中の橋近くには、従業員の供養などを目的に建立した様々な「企業墓」が点在する。ユニークな墓石としては、UCC上島珈琲のコーヒーカップ、ヤクルトの容器、新明和工業のロケットなどがあり、福助の「感謝の碑」に鎮座する福助人形もひときわ存在感を示している。

 通常の墓石と異なる形のものを建てるには、高野山の審査を通る必要があるという。公序良俗に反しない、形状が企業の事業と合致している、などが条件のようだ。厳しく不透明な経営環境下、自社の原点や理想をシンプルな形で表現できるか。生き残りへの大きなキーワードの一つになる。


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