地方百貨店で地元の農産品・工芸品や観光資源などをマーケティングし、販路開拓する新規事業が広がっている。地域貢献はもちろん、独自性のある品揃えやサービスを持つことで、百貨店としての競争力を高める。
藤崎(仙台市)は行政と連携して地域ブランド「都の杜・仙台」を今春、立ち上げた。こけしと組み合わせた植物標本や県内の自然がモチーフの文庫本と生花の詰め合わせといった地域産品を再編集し、百貨店のノウハウをブランディングに生かす。5月に期間限定販売したのをはじめ、都内百貨店の東北物産展にブース出店した。
新潟三越伊勢丹は16年から「ニイガタ越品」、仙台三越は17年から「むつめく東北」という地域ブランドをスタートしている。井上(長野県松本市)は京急百貨店(横浜市)の信州物産展に18年5月に続いて今年も出店した。水戸京成百貨店は18年10月から茨城県の東京・銀座アンテナショップの運営を請け負っている。
地域商社事業は販路開拓を生産者に代わって担うことで、商品、サービスの付加価値化や市場の声を物作りに反映させられるビジネスモデルだ。百貨店の商品編集・販売力を生かして販路を確保し、国内外にローカルブランドを発信する。事業を収益化するまでに課題はあるが、地域での百貨店の果たすべき役割は大きい。