大手百貨店の18年度百貨店事業の業績は減益が相次いだ。基幹店を中心とした店舗改装などの先行投資が増えたのが要因で、足元の売り上げ、利益は堅調だった。けん引しているのはインバウンド(訪日外国人)需要と時計・宝飾などの高額品の販売で、数少ない成長領域として伸びが続く。
百貨店事業で18年度に増益を確保したのは三越伊勢丹ホールディングスで、営業利益は5.7%増の153億円だった。子会社の整理・縮小や人件費の削減による構造改革が進んだ。J・フロントリテイリングは9.2%減の241億円だったが、収益力が群を抜いた。高島屋は36.7%減の86億円で、日本橋高島屋SCの開業などで販売・管理費が増加した。
百貨店事業の19年度業績は大手3社ともに増益を見込む。J・フロントリテイリングは260億円、三越伊勢丹ホールディングスは160億円、高島屋は100億円の営業利益を計画している。増益とはいえ、収益率の低さは変わらない。
企業としての成長戦略の方向性は各社で異なる。不動産を新たな収益源とした脱百貨店から本業である百貨店の立て直しまで振り幅が広い。もっとも、百貨店事業の再生については大きな違いがなく、新たなビジネスモデルを見いだすまでに至っていない。横並び意識や従来の成功体験からの脱却がまず必要である。