あるラグジュアリーブランドでは20~30代の販売員が上位顧客100人の販売計画リストを作成していると聞いた。「誰に何を」を提案するか明確にするわけだ。これを毎シーズン繰り返せばリストの精度は高まっていく。買い上げ率やセット販売率の向上にもつながる。同ブランドは売り上げを大きく落とすことはないらしい。ブランドに対する顧客のロイヤルティーが高いからこそ成り立つのかもしれないが、顧客ニーズを踏まえたコーディネート提案力や販売力が身につく。
既存店活性化の一環として、販売力の向上を課題とする小売業は多い。しかし、行っていることは、ロールプレイング大会への参加や店長会などでの商品情報の共有強化ぐらいしか聞かない。
商業施設のロープレ大会では、専門審査員によるアドバイスシートが後日配られる。全国大会の出場者には専門コンサルタントの指導の場を作る施設もある。テナントの店長向け教育カリキュラムを用意している施設もあった。販売教育体系が整わず、教育担当者も置けないテナント企業が多いためだろう。
教育どころか販売スタッフ確保に四苦八苦。それが現実だとしても、「すぐ辞める」悪循環をどこかで断ち切らないと、店の魅力の向上は難しい。本来、店長は店やブランドの「アンバサダー」の役割も担っているはずだ。