《めてみみ》心に残る言葉

2019/04/24 06:24 更新


 あるアパレルメーカーの社長取材の際、ふと話が飛び、NHKの連続テレビ小説「なつぞら」が話題になった。草刈正雄が主人公に、「ちゃんと働けば必ずいつか報われる日が来る。報われなければ働き方が悪いか、働かせる者が悪い。だが、一番悪いのは人が何とかしてくれると思って生きることだ」と語るシーン。「本当に良い言葉だった。感動して号泣しました」と社長は苦笑する。

 ほぼ同意のことわざに、「天は自ら助くる者を助く」というフレーズがある。19世紀、英国で作家や医者として活躍したサミュエル・スマイルズの『自助論』の序文の言葉だ。日本では、思想家だった中村正直が明治初期に翻訳し、『西国立志編』として紹介した。

 西国立志編は100万部以上の版を重ねたという。当時としては、とんでもないミリオンセラーである。明治という新しい時代を迎え、これから国家を作り上げていこうとする人々の心に、自主自立という言葉が強く響いたのだろう。

 令和の幕開けまで1週間。今春に入社した新入社員たちも様々な研修などを経て、ビジネスの現場で本格的に動き始めることになる。配属された部署の上司や先輩、取引先の一言が若い人たちにどう響くか。様々なツールの発達で、マンツーマンの会話が希薄になりがちな時代。心に残る言葉を贈りたいものだ。



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